時間の流れ
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「いたたたた…」
頭がガンガン、ズキズキする。
ぎゅっと閉じた目を少しずつ開けると、見覚えのない天井と照明器具が見えた。
ハッとして肘をついて肩を起こすと、
どうやらソファに横になってたらしい。
「おはよ」
「二宮さん?」
ダイニングテーブルのようなところにパソコンを置いて、パソコンの横から顔を出していた。
「え?私なんでここに?ここ二宮さんの家ですか?」
「アナタどこまで覚えてるの」
席を立って、コップをもってくる。
「ん」
立ったまま水の入ったコップを手渡してきた。
体を起こしてソファに座ると、水を受け取った。
「ありがとうございます…」
水を飲みほすと、胃がこれ以上何も飲むな、という、不快感を表している。
「で?どこまで記憶あるの?」
「えっと…確か…水を取りに店員さんを探しに行って、櫻井課長がきて、ってとこまでです」
はぁー、とため息をついて二宮さんもソファに腰を下ろす。
「どこから説教しましょうか」
「…すみませんでした」
「ちゃんと聞きなさい」
「はい」
「まず、メロンパン少ししか食べてない」
「はい」
「腹減ってるのに酒の勢い強すぎ」
「それは…いろいろ忘れたいこともあって」
「はいはいはい口答えしない」
「はい…」
「それから、櫻井課長に近づきすぎ」
「…はい?」
「いちゃいちゃして」
「いやいやいや」
「保護者の前でそんなハレンチなことして、目のやり場に困るっての」
「…怒ってます?」
「あ?」
「いえ、すみませんでした…」
いつもの怖い二宮さんの切れ味が増してる。
「最後」
「はい」
「いい子にしてって言ったでしょ」
「言ってました」
「反省しなさい」
「は、はい」
『いい子』なんて、私そういうキャラじゃないんだけどな…
『いい子』という言葉がなんだか恥ずかしくて、くすぐったい。
寝てたのを気にしてくれたのか、ソファとテレビのあるエリアの照明はついていない。
「ここ、二宮さんの部屋なんですよね?」
「まあね。」
黒と茶色で統一されて、シンプルな部屋が
二宮さんらしい
ソファからベランダに通じる大きな窓が見えて、夜の闇を写している。
「あっ、いま何時…?」
腕時計を急いで確認すると、あと少しで終電の時間になりそうだった。
「…ここって最寄りは何駅ですか?終電間に合いそうなんで帰ります」
「それがねー残念なのよ」
そう言ってテレビをつける。
ニュース番組で、JRの車両トラブルで復旧の見通しなし、と伝えている。
それに伴い、他の鉄道会社の駅にもすごい行列ができているらしい
「はい、バス、タクシー3時間待ち」
「そんな…ん?ここまでどうやってきたんですか?私櫻井課長の腕の中で倒れたような…」
「課長がお前のこともって帰ろうとしてたから保護者として責任もって引き取りました」
二宮さんは腕と足を組んで遠くを見ながら言う。
「ご、ご迷惑をおかけしました…!」
「アナタね、簡単に男の腕の中に入っちゃダメでしょうよ」
「いや、ちょっと弁解させてもらいますがお酒の失敗はこれが初めてです!」
「あと一歩で持ち帰られるとこだったのよ?」
二宮さんががっつりこちらを見る。
あきれた目をしている。
ん?待てよ?
この状況も、端からみると持ち帰りと同じでは…?
「…何よ」
疑問が浮かんだ顔をしていると、二宮さんが切り込んでくる。
「いえ、あのこの状況は周りの人から見たらどうなんでしょう…?」
「ワタシが保護してあげたまでです。
決して持ち帰ってはいない」
二宮理論…恐ろしいことによくわからなくても丸く治めよう感がひしひしと伝わる。
「二宮さんに、変な噂が立たなければそれでいいです」
「そうね。スキャンダルで俺のキャリア潰れたら責任とってもらいましょうかね」
ニヤリと笑いながら言う。
「それにしてもアナタ担いできたから肩が痛い腰が痛い」
「!!」
「あー疲れた」
「お、お茶でも淹れましょうか…?」
「ここ俺の家」
「…失礼しました」
二宮さんはそう言ってソファを立って何かを取りに行った。
戻ってくると無言でお泊まり専用のスキンケアセットを渡された。
「これ…」
「さっきアマゾンのお急ぎ便で頼んでおきましたよ感謝しなさい」
「あ、ありがとうございます!!」
そっか、二宮さんの家って女子が使うようなものないのか…
ふと見回すと、女性の影らしきものは何も見当たらない。
「あの、彼女とかいないんですか?
いたら申し訳ないなー、と」
「どう思う?」
「いるかどうかですか?」
正直、知ったこっちゃないと思ったけど、
そう言うと怒られそうなので考えたふりをする。
「…いない!」
「いたらアナタなんぞもって帰りませんからね」
「持って帰ってるって言った!」
「さてと、仕事しましょうかね」
そう言って二宮さんはダイニングテーブルに戻った。
なんか、遊ばれてるような。
男の人の部屋なんて、数年ぶりに入る。
仕事のパートナーである二宮さんのプライベートをのぞくようで、心が落ち着かない。
「アナタお先にシャワーどうぞ」
そうか。今日は泊まるしかないか。
飲んだあとだし、ほとんど酔いも覚めたし
シャワーあびてさっぱりしたい。
「…じゃあ、お言葉に甘えてお先に失礼します。ありがとうございます」
頭はまだ少しズキズキするものの、そのままお風呂に向かう。
つくづくシンプルな部屋で、洗面にもお風呂にもムダなものはひとつも置いていない。
二宮さん、迷惑かけっぱなしだな
私の家知ってるなら、私の家に送ってくれてもよかったんだけどなぁ
二宮さんの部屋にお邪魔するなんて、申し訳ないな
…まぁ、運んでもらっただけでもありがたいか
あー職場の人にも迷惑かけたな…月曜日謝ろう
いろんなことを考えながら服を脱いだ
その時、ガチッと音がしてドアが開いた。
「ちょちょちょちょちょ!!!!!」
急いでドアを閉めようと押す。
「え?もう脱いでんの?」
「なっ、なんですか!!」
「着るもんもってきただけですけどね」
ドアの隙間から服を持った手が伸びてくる。
「…あの、見てないですよね?」
「何を?」
「なんでもないです!ありがとうございます!お借りします!」
服を受け取って、ドアを閉めようとしたとき
「薄い紫」
と聞こえた
「見えてるじゃないですかーーー!!!!」
なんというか、二宮さんのペースに振り回されている
でも何だかそれが心地よくて
二宮さんが心を開いてくれたのか、
私が心を開いたのか、
祐をいろんな意味で見失ったいま、
『保護者』という二宮さんの存在がとてもありがたい。
頭がガンガン、ズキズキする。
ぎゅっと閉じた目を少しずつ開けると、見覚えのない天井と照明器具が見えた。
ハッとして肘をついて肩を起こすと、
どうやらソファに横になってたらしい。
「おはよ」
「二宮さん?」
ダイニングテーブルのようなところにパソコンを置いて、パソコンの横から顔を出していた。
「え?私なんでここに?ここ二宮さんの家ですか?」
「アナタどこまで覚えてるの」
席を立って、コップをもってくる。
「ん」
立ったまま水の入ったコップを手渡してきた。
体を起こしてソファに座ると、水を受け取った。
「ありがとうございます…」
水を飲みほすと、胃がこれ以上何も飲むな、という、不快感を表している。
「で?どこまで記憶あるの?」
「えっと…確か…水を取りに店員さんを探しに行って、櫻井課長がきて、ってとこまでです」
はぁー、とため息をついて二宮さんもソファに腰を下ろす。
「どこから説教しましょうか」
「…すみませんでした」
「ちゃんと聞きなさい」
「はい」
「まず、メロンパン少ししか食べてない」
「はい」
「腹減ってるのに酒の勢い強すぎ」
「それは…いろいろ忘れたいこともあって」
「はいはいはい口答えしない」
「はい…」
「それから、櫻井課長に近づきすぎ」
「…はい?」
「いちゃいちゃして」
「いやいやいや」
「保護者の前でそんなハレンチなことして、目のやり場に困るっての」
「…怒ってます?」
「あ?」
「いえ、すみませんでした…」
いつもの怖い二宮さんの切れ味が増してる。
「最後」
「はい」
「いい子にしてって言ったでしょ」
「言ってました」
「反省しなさい」
「は、はい」
『いい子』なんて、私そういうキャラじゃないんだけどな…
『いい子』という言葉がなんだか恥ずかしくて、くすぐったい。
寝てたのを気にしてくれたのか、ソファとテレビのあるエリアの照明はついていない。
「ここ、二宮さんの部屋なんですよね?」
「まあね。」
黒と茶色で統一されて、シンプルな部屋が
二宮さんらしい
ソファからベランダに通じる大きな窓が見えて、夜の闇を写している。
「あっ、いま何時…?」
腕時計を急いで確認すると、あと少しで終電の時間になりそうだった。
「…ここって最寄りは何駅ですか?終電間に合いそうなんで帰ります」
「それがねー残念なのよ」
そう言ってテレビをつける。
ニュース番組で、JRの車両トラブルで復旧の見通しなし、と伝えている。
それに伴い、他の鉄道会社の駅にもすごい行列ができているらしい
「はい、バス、タクシー3時間待ち」
「そんな…ん?ここまでどうやってきたんですか?私櫻井課長の腕の中で倒れたような…」
「課長がお前のこともって帰ろうとしてたから保護者として責任もって引き取りました」
二宮さんは腕と足を組んで遠くを見ながら言う。
「ご、ご迷惑をおかけしました…!」
「アナタね、簡単に男の腕の中に入っちゃダメでしょうよ」
「いや、ちょっと弁解させてもらいますがお酒の失敗はこれが初めてです!」
「あと一歩で持ち帰られるとこだったのよ?」
二宮さんががっつりこちらを見る。
あきれた目をしている。
ん?待てよ?
この状況も、端からみると持ち帰りと同じでは…?
「…何よ」
疑問が浮かんだ顔をしていると、二宮さんが切り込んでくる。
「いえ、あのこの状況は周りの人から見たらどうなんでしょう…?」
「ワタシが保護してあげたまでです。
決して持ち帰ってはいない」
二宮理論…恐ろしいことによくわからなくても丸く治めよう感がひしひしと伝わる。
「二宮さんに、変な噂が立たなければそれでいいです」
「そうね。スキャンダルで俺のキャリア潰れたら責任とってもらいましょうかね」
ニヤリと笑いながら言う。
「それにしてもアナタ担いできたから肩が痛い腰が痛い」
「!!」
「あー疲れた」
「お、お茶でも淹れましょうか…?」
「ここ俺の家」
「…失礼しました」
二宮さんはそう言ってソファを立って何かを取りに行った。
戻ってくると無言でお泊まり専用のスキンケアセットを渡された。
「これ…」
「さっきアマゾンのお急ぎ便で頼んでおきましたよ感謝しなさい」
「あ、ありがとうございます!!」
そっか、二宮さんの家って女子が使うようなものないのか…
ふと見回すと、女性の影らしきものは何も見当たらない。
「あの、彼女とかいないんですか?
いたら申し訳ないなー、と」
「どう思う?」
「いるかどうかですか?」
正直、知ったこっちゃないと思ったけど、
そう言うと怒られそうなので考えたふりをする。
「…いない!」
「いたらアナタなんぞもって帰りませんからね」
「持って帰ってるって言った!」
「さてと、仕事しましょうかね」
そう言って二宮さんはダイニングテーブルに戻った。
なんか、遊ばれてるような。
男の人の部屋なんて、数年ぶりに入る。
仕事のパートナーである二宮さんのプライベートをのぞくようで、心が落ち着かない。
「アナタお先にシャワーどうぞ」
そうか。今日は泊まるしかないか。
飲んだあとだし、ほとんど酔いも覚めたし
シャワーあびてさっぱりしたい。
「…じゃあ、お言葉に甘えてお先に失礼します。ありがとうございます」
頭はまだ少しズキズキするものの、そのままお風呂に向かう。
つくづくシンプルな部屋で、洗面にもお風呂にもムダなものはひとつも置いていない。
二宮さん、迷惑かけっぱなしだな
私の家知ってるなら、私の家に送ってくれてもよかったんだけどなぁ
二宮さんの部屋にお邪魔するなんて、申し訳ないな
…まぁ、運んでもらっただけでもありがたいか
あー職場の人にも迷惑かけたな…月曜日謝ろう
いろんなことを考えながら服を脱いだ
その時、ガチッと音がしてドアが開いた。
「ちょちょちょちょちょ!!!!!」
急いでドアを閉めようと押す。
「え?もう脱いでんの?」
「なっ、なんですか!!」
「着るもんもってきただけですけどね」
ドアの隙間から服を持った手が伸びてくる。
「…あの、見てないですよね?」
「何を?」
「なんでもないです!ありがとうございます!お借りします!」
服を受け取って、ドアを閉めようとしたとき
「薄い紫」
と聞こえた
「見えてるじゃないですかーーー!!!!」
なんというか、二宮さんのペースに振り回されている
でも何だかそれが心地よくて
二宮さんが心を開いてくれたのか、
私が心を開いたのか、
祐をいろんな意味で見失ったいま、
『保護者』という二宮さんの存在がとてもありがたい。