16.個別指導
Your Name
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私が壁の前に立つと、見る見るうちに扉が浮き彫りになっていく。
「ほう、必要の部屋か」
出来上がった扉を見て、セブルスは感心したように言った。
「自室もありますし、こういう時くらいしか使い道ないですけど、凄く便利なんです」
中へ入ると、広い空間に訓練用人形が四体置かれている。
いつもと変わらない景色だ。
「まさか、ここで一人で練習していたのか?」
「少しだけ。最近使い始めたんです。でも一人では出来ることも限られるんで」
部屋を見回していたセブルスが、一点を見つめていたことに気が付いた。
「あれはなんだ?」
「ただの呪文集の本です」
部屋の端の机には例の呪文集が一冊置かれている。
ここにこんな唐突に人を入れるなんて考えてなかったから、そのままにしてた。まずい。
澄まして答えたつもりだったが、「ただの」という余計な言葉に良からぬものと察したのか、セブルスは素早く杖を振って本を呼び寄せた。
うん。手遅れだ。
「ふむ。見たところ、上級生向けの本のようだな?どこで手に入れた?」
「……処分するということで、いただいたんです」
嘘ではないが、本来持っているべきではないものに後ろめたさを感じ、思わず目を泳がせる。
セブルスはパラパラと中身を見た。
「この本の持ち主は、随分勉強熱心だったようだな」
「そうなんです!とてもわかりやすくて!細かなコツが書いてあって」
笑顔で答えていると、セブルスは軽く鼻で笑い、杖で本を叩くとその場から消してしまった。
なんてことを!
「あ!」
「なんだね。本来持っているべきではないものだろう」
「……はい」
「知りたいものがあるなら我輩に聞けばよかろう。丁寧に教えて進ぜよう」
どうだ?と言わんばかりに片眉を上げて言う。
眉間の皺はいつも以上に深く刻まれている。
言い方からしても、少し不機嫌そうだ。
もしかして嫉妬的な……?
いやいや、それは良く捉えすぎか。
「教えてもらえるんですか?」
「教えないこともない」
なんとも曖昧な返答。
これは危険と判断したら教えてもらえないだろうな。
まだある程度しか取得出来てなかったのに……。
「でも、忙しくないですか?」
「安全かもわからぬもので学ばれるくらいなら、少しくらい時間を割こう」
「答えになってないです」
「それくらい問題ないということだ」
セブルスは優しく頭を撫でてくれた。
絶対に忙しいし、そんなに教えてる暇なんてないだろうに。
「わかったらさっさと始めるぞ」
「はい」
私は仕方なく諦めて、取り敢えず今日の教えを乞うことにした。
「基本的な呪文は完璧だったな?」
「はい。問題ありません」
セブルスは私の横で杖を構えたので、私も杖を取り出した。
「決闘クラブの時にお前の動きを見たが、悪くはない。だが、もう少し小回りで良い」
そう言うと、エクスペリアームスの動きをした。
サッと小回りで、私がするのとは大違いだ。
「こうですか?」
実際に杖を振ってどんなものか教えてくれるのを見て、見様見真似でいつもより小回りで素早く杖を動かしてみる。
「そうだ。だが動きを疎かにしてはならん。わかるな?」
「はい。勿論です。正しく動かさなければ呪文自体発動しません」
セブルスは頷くと、再び構える。
「振りの速さは重要だ。相手より先に呪文を放たなければ意味がない」
そう言うと、素早く杖を動かして呪文を放ち、訓練用人形を激しく揺らした。
美しいと感じる程、無駄のない動きだ。
決闘クラブで皆にお手本を見せたものとは比べ物にならない。
「詠唱無しで出来るようになれば、更に有利になるそれは追々教えてやろう」
更に連続して魔法を放ち、訓練用人形はあっという間にボコボコになり床に崩れ落ちた。
私はセブルスのあまりの美しさと強さに見とれてしまう。
それに気づいたのか、セブルスは私を見るなり小さく笑みを浮かべた。
「わかっているのかね?」
「は、はい!わかってます!」
「真面目に学びたまえ」
「真剣に見てたんですけど……動きがあまりにも美しくて、つい……」
言っていて恥ずかしくなり、誤魔化して口元に手をやって顔を背ける。
すると大きな溜め息が聞こえた。
視線だけをそちらに向けると、少し照れているのか眉間の皺を深くして腕組みをした。
「すぐにそんなことも考えられないようにしてやろう」
「お、お手柔らかにお願いします……」
そのあとはちゃんと真面目に教えを受けた。
少し厳しくもじっくり丁寧に教えてくれるセブルスに、私も真剣に習う。
杖の振り方や重心の置き方等、本当にわかりやすかった。
まずは麻痺呪文、武装解除呪文、防御呪文を習い、以前より遥かに早く繰り出せるようになった。
「実践と行くか」
「実践?」
セブルスが私と距離を置いて向かいに立った。
実践って、正面に向かい合って立つってことは、私とセブルスで実践ってこと?
「手加減はしよう」
「私にセブルスを攻撃しろって言うんですか?」
「食らいはせん。安心しろ」
「私も攻撃されるんでしょう?」
「そうだな」
いくら手加減すると言っても、セブルスが強いに決まってる。
詠唱無しでもまだできないんだし、手加減されたところでなんだけど。
めちゃくちゃ恐ろしい……。
「我輩がユウキを傷つけると思ってるのか?」
「そうは思いませんけど……」
「まずは防御に徹しろ。隙をついて攻撃をするのだ。では、杖を構えろ」
セブルスは杖を構えた。
私は緊張してかいた手汗を拭いてから、渋々杖を構えた。
大丈夫、本番に比べれば優しいものだ。
それにセブルスは絶対に私を傷つけない。