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「プロテゴ!」
クィレルの無言で放った1つ目の呪文は防いだ。
しかし、守った次の瞬間の隙に、再び呪文が飛んできた。
避けることも、呪文で防ぐこともできなかった私は、その攻撃を受けてしまった。
もう守ってくれるものもない。
衝撃とともに体痺れ、私はその場に転げた。
動けない。苦しい。
でも、クィレルが手加減していることがわかった。
本気の呪文を受けたら気を失っているはずだ。
「ユウキ!ユウキ!」
ハリーはまだ逃げていないのか…いいから早く逃げろって…。
「早く捕まえろ!」
ヴォルデモートの声のすぐ後に、ハリーの悲鳴が聞こえた。
まずい、早くしないとハリーが、クィレルが…!
倒れた状態のままなんとか顔をあげると、クィレルが体を丸め、ハリーから離れていく。
どうやら手になにかあったらしい。
もう、触れてしまったのか。
「捕まえろ!捕まえろ!」
ヴォルデモートが甲高く叫んだ。
私は痛みと痺れに耐えながら、近くに落ちていた自分の杖に手を伸ばした。
もう呪文が切れかかっているのか、体が少し動き、なんとか杖を手に取ることができた。
「ダメ…やめて…!」
叫んだがすでに遅く、クィレルはハリーの上にのしかかって、両手をその首にかけた。
しかし、すぐにまた苦痛で唸り声をあげた。
「ご主人様、奴を押さえていられません。手が…私の手がっ…」
クィレルは膝でハリーを地面に押さえてはいたが、ハリーの首から手を離し、自分の手の平を見ていた。
その手は酷いものだった。
真っ赤に焼けただれ、皮がべろりとむけ、とても見るに堪えないものだった。
「それなら殺せ、愚か者め。始末してしまえ!」
ヴォルデモートが鋭く叫んだが、クィレルは一瞬戸惑った。
「ハリー!クィレルに絶対触れるな!」
呪文はほぼ解けていた。
私は立ち上がり、走ろうとした。
が、いきなり左足が地面に沈むかのように私はその場に膝をついた。
どうやら先程地面に落ちた時に足を痛めてしまったらしい。
こんな時に!
クィレルは一瞬だけ私の方をちらりと見てから、手をあげてハリーに死の呪いをかけ始めた。
あぁ、間に合わない。
「ハリー!」
ハリーがクィレルに向かって手を突き出すように前に出した。
クィレルの叫び声が響く。
そしてそのまま床に倒れた。
顔が焼けただれ、痛みに悶えている。
「ダメ!それ以上触れてはダメ!」
このまま触れれば、クィレルは死ぬ。
救うと言ったのに、クィレルに言ったのに…。
私は立ち上がり、足の痛みにふらつきながらも2人の元へ走った。
ハリーは再びクィレルに触れようと迫っている。
なぜだかそれに恐怖を感じた。
私はハリーを突き飛ばし、一緒に崩れるように倒れた。
なんとか間に合ったようだ。
ハリーはその場に倒れたままで、どうやら気を失ってしまったようだ。
「殺せ!殺せ!」
ヴォルデモートの叫びが耳をつんざく。
クィレルは顔を押さえて床を転げている。
私はすぐに駆け寄り、クィレルの手を顔から剥がした。
「大丈夫…」
見ていられないほどに痛々しく惨い姿に目を細めながらも、私は杖をクィレルに向けた。
「ウェントゥス サーナティウス……」
杖先からふわりと温かい風がクィレルを包むように吹いた。
すると焼けただれていた顔と手の皮膚が時間をかけて少しづつ治っていく。
この呪文はとても古い本に載っていたものだ。
使用者の力量と時間によって効果が決まる。
私にはまだまだのようだ。
あまり時間もかけていられないし、これくらいにしよう。
少しはマシになった。
「しっかり意識を保ってくださいね」
笑いかけると、クィレルは不思議そうな顔で私を見つめた。
もう戦う気ははないようだ。
「何をする気だ」
怒りに満ちたヴォルデモートが私に言った。
何をする?やることは一つしかないだろ。
「悪いものは取り除かなきゃ」
私はクィレルの頭を抱え、膝の上にゆっくりとおろした。
そしてヴォルデモートに杖を向けた。
「お前ほどの者が俺様を敵に回すのか?俺様とお前が組めば、なんだってできる。思うがままだ」
「御生憎様。私とあなたの望むものは違いすぎてるんでね」
皮肉たっぷりにそう言い放てば、ヴォルデモートは悔しそうな呻き声を上げた。
さて、そろそろ始めよう。
さっきから耳鳴りがして、だんだん体が重くなってきてる。
早く済まさないと。
私は一度深呼吸をしてから、しっかりとクィレルを見つめた。
クィレルの胸の上に手を置き、この日のために今まで散々苦労して調べた呪文を唱えた。
「クィリナス・クィレル…汝が汝の心を持ち、神性を保とう時、手を取りたれ。我は力を与えようぞ」
心を落ち着かせて静かに唱えると、クィレルは焼けただれた震える手で私の手を力強く握った。
私はクィレルの胸をまるで握り潰すかのように力を入れた。
「やめろ!何をしている、殺せ!」
クィレルはヴォルデモートの叫ぶ声にまったく反応せず、ただ大人しく私を見つめるだけだった。
次を唱えれば終わる。
気乗りはしないが、しないわけにはいかない。
私は震える唇で続きを唱えた。
「後頭の魔に敗れざりけり神性の心を持ちたりし者に力を与えよ。煌々たりて穢れを消し去るべし。この者は清き者なり…」
「やめろ!やめろ!」
ヴォルデモートの言葉など、もう誰も聞いていない。
クィレルは苦しそうに顔を歪めている。
呪文が辛いのかもしれない。
だけど持ち堪えている。
私は唇を思い切り噛んだ。
不思議と痛みはあまりなく、ただ口の中に鉄の味が広がった。
そして、その唇をクィレルの唇に押し付けた。
力が抜けて、意識が段々と遠退くのがわかる。
そんな中、小さく言葉が聞こえた気がした。
「ありがとう…」