21.涙の幸せ
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セブルスから離れようとしたが、ガッシリと抱きしめられているため離れられない。
否、逃げられない。
「……」
「クィレルとはどんな関係だ?」
「どんなって…ただ目をつけられただけです」
セブルスのローブをぎゅっと握った。
顔を見たくない。
絶対に怒ってるもん。
「ただ目をつけられた?ならなぜそんなもの」
肩を掴まれ、意図も簡単に体を剥がされた。
恐る恐る視線だけをセブルスに向けた。
やはり怒っているようだ。
「もう一度見せろ」
「い、嫌です!」
「呪いかもしれない。見せろ」
私はセブルスの手を掴んで、胸元に伸びてくる手を必死に阻止した。
「やめてください!変態!」
「誰が変態だ。大人しくしろ!」
いくらセブルスでも、そう何度も見せられるか!
騒いでいると、扉をノックする音が聞こえた。
セブルスはパッと手を離し、私から2、3歩離れた。
私も少し乱れた服を直した。
セブルスが返事をすると扉が開き、入ってきたのはマクゴナガル教授だった。
「何か騒いでいたようですが?」
「なんでもありません」
私は安堵の溜め息をつきながら答えた。
「何か用ですかな?」
セブルスはいつもの調子で答えた。
まるで先程のことがなかったかのようだ。
「アマクラをお借りしたいのですが、よろしいですか?」
「あと10分ほどお待ちいただければ」
「わかりました。終わり次第来なさい」
マクゴナガル教授は私にそう言うと、すぐに出ていった。
絶対に処罰のことだ。怒られる…。
てか、セブルスは10分って言ってたけど、そんな短い時間で吐かせるってこと?
「さぁ、観念して早く見せたまえ」
「嫌です!話だけで勘弁してください」
「…では話してみろ」
私はほっと胸を撫で下ろし、簡潔に話を始めた。
「あのですね、クィレルに印だとか言われてつけられたんですけど…話しは最後まで聞いてくださいね」
セブルスの眉がピクッと動き、何か言い出しそうだったので釘をさした。
「どういう効果があるかは知りませんが、杖でつけられました」
「杖で?2回ともか?」
「…はい」
「吐け」
ギロリと睨まれ、私はビクリと身体を震わせた。
「……」
「誤ってお前の口の中に真実薬を垂らしてしまうかもしれないな…」
どうやったら誤って私の口の中に真実薬を垂らすのよ!
どうやら吐かない方が大変なことになりそうだ。仕方ない。
「か…噛まれました…1回だけ」
「!?」
「で、でも、何もないですし…」
セブルスは明らかに怒っている様子だった。
でもここでセブルスがクィレルに危害を加えたら、物語はどうなるんだろう。
「あの、あまり怒らないであげてください」
「あいつを庇うのか?」
「庇うとかじゃなくて、その…あまり悪い人じゃないですから……怒るなら全て終わった後にしてください」
気にくわない、怒ったような表情のセブルスを見て、私は思わず眉を下げた。
恋人が他の男を庇うようなことをしてたら、誰だって嫌だよね。
「そんな顔をするな。ユウキは何か知っているのであろう?未来のためか?」
セブルスは優しく私の頬を撫でた。
しかし、表情は苦しそうに少し歪んでいた。
「ごめんなさい…」
「謝るな。ユウキは何も悪くない」
セブルスは愛しそうに私を抱きしめてくれた。
温もりが心地よく、ずっとこのままでいたいと思ってしまう。
「いつまでもこうしているわけにはいかん」
私の気持ちを読み取ったかのように、セブルスが言った。
私を離すと、頭を撫でてくれた。
「さぁ、そろそろ行きたまえ。明日の夜、また来るといい」
私はパッと表情を明るくした。
明日、またセブルスといられる。嬉しい。
「はい!楽しみにしてますね」
私は嬉しくて、一度セブルスにぎゅっと抱きついた。
セブルスは嬉しそうに微笑んだ。
その後、私は急いでマクゴナガル教授の元へ行き、処罰に行ったことをこっぴどく叱られた。
午後の授業まで食い込み、その日授業に出ることはできなかった。