21.涙の幸せ
Your Name
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私が悔やんでいると、セブルスが私のネクタイをグイッと引っ張った。
私はバランスを崩し、思わずセブルスの胸に飛び込んだ。
急いで離れようとしたが、ネクタイを掴まれていたため、あまり離れることができない。
「ネクタイを外せ」
「い、嫌です」
「なら我輩が外すが?」
心臓がドキリと跳ねた。
なに、そのおいしいシチュエーション…じゃなくて!
「…自分で外します」
一向にネクタイを離そうとしないセブルスを見て、私は渋々そう言った。
このままではセブルスに外される。
なんだか恥ずかしいじゃん!
それに、もうそこに痕はないんだ。
見せたって大丈夫。
セブルスがネクタイを離した。
私は大人しくネクタイを外した。
ワイシャツの第一ボタンは元々していなかったため、襟を掴んで少し引っ張っぱった。
それだけで前に印があった場所は十分見えるはずだ。
「これでいいですか?」
「……」
セブルスはじーっとそこを見つめた。そんなに見られたら恥ずかしい…。
「もういいでしょう?」
私は襟を戻して整えた。
「待て」
顔を上げた途端手が伸びてきて、ワイシャツの襟を掴んで思い切り引っ張った。ブチッと音がして、第二ボタンが飛んだ。
「これはなん…」
「変態!」
私はセブルスの手を払い、胸元を隠してしゃがみ込んだ。
いくら子供の体だからって、中身は18歳なんだから!
キャミソール着ててよかった。
「す、すまない。しかし…」
涙目になりながらもキッと睨みつけると、申し訳なさそうにそう言った。
悪気はないみたいだけど、好きな人にこんなことされたら恥ずかしいよ。
「その痕はなんだ?」
見られた。
私は下を向き、そのまま立ち上がった。
襟を整えながら小さく言った。
「セ、セブルスには関係ないです…」
「関係なくなどない!」
「関係ないです!これは、私とクィレルの問題です」
セブルスは絶対に誤解してるだろう。
でも印のことを話すべきなのかわからない。
それに話してクィレルがもしも捕まったら、ヴォルデモートは怒ってクィレルに何をするか…。
それにもし、物語が大幅に変わってしまえば、私は何もできなくなる。
この世界にいる理由がなくなる。
「我輩に話さなければ、校長にこの話しをすることになる。お前は生徒以前に校長の孫なのだぞ。我輩はお前の監視役である故、報告の義務がある」
卑怯なやり方に、私は顔を上げてセブルスを睨み付けた。
しかし、セブルスの顔を見て、私は少し驚いて睨むのを止めた。
その表情は明らかに心配しているようだった。
「監視役だから、そんなに私に迫るんですか?もしそうならやめてください」
そんな表情をされたら、不謹慎にも嬉しいと思ってしまう。
大好きな人に心配されたら、期待してしまう。
時に見せる、他の人には見せないその表情に、私は…。
「監視役としてでなければよいのかね?」
私は意味がわからずに顔を上げた。
セブルスはゆっくりと私に近づくと、そっと抱き締めた。
あまりにも突然な行動に私は頭が働かず、突き放すどころか、動くことすらできなかった。
心地よい温もりと薬草の香りが、私を麻痺させていく。
「ユウキ…」
自分の名前が呼ばれたことで私は我に返り、セブルスを突き放した。
心臓が破裂しそうな程、早く激しく波打っている。
「な、に…するんですか」
「我輩ではダメなのか?」
「セ、セブルスは勘違いしてる…私は、クィレルとそんな関係じゃない。セブルスは…」
セブルスはなぜそんなことをするの?
なぜそんなことを言うの?なぜ…。
「我輩は…我輩は、お前が好きだ。ユウキ」
「じょ、冗談はやめ…」
「冗談などではない」
私はふるふると首を横に振った。
急展開すぎて頭がついていかない。
嘘だ。そんなはずない。
セブルスがこんな子供なんかを好きになるなんてあり得ない。
それにリリーが好きなはずじゃ…?
「嘘…」
「なぜ信じてくれぬのだ」
「だって、だって…」
リリーが好きなはずじゃ。
そう言おうとしたが口を閉じた。
誰が好きだろうと関係ない。
私はセブルスと付き合いたくない。
だって時が来れば、私は元の世界に戻らなくてはいけない。
セブルスとは会えなくなる。二度と……。
そうなったら辛いのは私だけじゃない。
セブルスだって辛いんだ。
「ユウキ」
「名前を呼ばないで!」
おかしいよ。セブルス。
「私は、セブルスなんか好きじゃ…」
胸の辺りがきゅっと締め付けられたように苦しくなり、私は胸を押さえた。
セブルスの顔が見れなかった。
「では、なぜそんなにも辛そうな顔をするのだ」
「してないっ」
私は教室を飛び出し寮へと走った。
途中、マクゴナガル教授に注意されたが無視をした。
気づけば寮の入り口に着いていた。
中へ入り、談話室にいる人にぶつかりながら部屋へ戻った。