18.みぞの鏡
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次の日の夜も、私はあの部屋に来ていた。
昨日と同じ椅子に座り、ハリーを待っていた。
1時間近く経っただろうか。
扉が突然開き、2人の少年がバッと姿を現した。
「ハリー、また来たんだね」
「ユウキ!」
「ロン、静かに」
ハリーはチラリと私を見たが、すぐに視線を鏡に戻し、ロンを鏡の前に立たせた。
ハリーはロンに家族を見せに来たのだ。
「ほら!みんなを見てよ…たくさんいるよ」
「僕、君しか見えないよ」
「ちゃんと見てごらんよ。さぁ、僕のところに立ってみて」
ハリーが立っていた場所にロンが立つと、ロンは夢中で鏡を覗き込んだ。
ロンには自分の望みが見えているようだ。どんな兄達よりも優れた自分の姿をが。
「この鏡は未来を見せてくれるのかなぁ?」
「違うよ」
ロンの問いに私が悲しく答えると、ハリーが続けて言った。
「そうだよ。僕の家族はみんな死んじゃったんだよ…」
そして2人は鏡の取り合いになった。
どうしてそこまでして見たいのか、私にはわからない。
2人の言い争いは廊下まで響いていた。
そして物音がすると2人はハッとして透明マントをかぶろうとした。
ロンが私を呼ぶ。
「何してるんだ。ユウキも早く!」
「私はいいから早くかぶりな」
2人は渋々マントをかぶり、姿が見えなくなった。
するとミセス・ノリスが扉の向こう側から現れた。
蛍のように光る目がハリーたちが居るであろう場所を見つめていた。
そして今度は私に視線を移した。
「こんばんは、ミセス・ノリス」
ミセス・ノリスは私に近づいてきて、足元で立ち止まると一鳴きした。
「呼ぶからね」
「遠回りで頼むよ」
ミセス・ノリスの言葉にそう返すと、ミセス・ノリスはくるりと向きを変えて立ち去った。
ミセス・ノリスとはちょっとした仲である。
信じられないことに、少しばかり私になついてくれたのだ。
意外と優しく、今回もフィルチをのんびり呼ぶだろう。
「早く戻ろう。ミセス・ノリスがフィルチを呼びに行った」
「ハリー、早く戻ろう」
ロンが言うが、ハリーはまだ鏡を見ていたいのか動こうとしなかった。
私とロンでハリーを引きずるように部屋から引っ張り出した。
翌日、私は校長室に来ていた。
アルバスはニッコリと笑って私を迎えてくれた。
「よく来たのぅ。まぁ座りなさい」
ソファーに腰をかけ、アルバスが出してくれた紅茶を一口飲んだ。
「ハリーのことでお話があって…」
私はハリーがみぞの鏡の虜になっていることを話した。
アルバスは「やはり…」と声を漏らした。
「大丈夫じゃ。明日余所に移すことになっておる。しかし、少しハリーと話さんとのぅ。今夜会いに行くとしよう」
よかった。これでハリーは大丈夫だ。
みぞの鏡から抜け出せるはず。
安堵していると、アルバスが悪戯っぽい笑みを浮かべて、私の顔を覗いてきた。
「それにしても、ユウキが堂々と寮から抜け出しておるとはのぅ」
「あ、それは…」
あくまでも校長に抜け出していることを暴露してしまった私は、苦笑いをした。
「よい。見つからなければ抜け出してないのと同じじゃ。わしもよく抜け出したものじゃよ」
楽しそうに笑うアルバスは、今は生徒としてではなく、孫として私を見ているようだった。
その日の夜、私はまたあの部屋に来ていた。
でも、今夜で最後。大丈夫。
私の座る椅子から少し離れた机には、アルバスが座っている。
静かに待っていると、扉が独りでに開き、間もなく鏡の前にハリーの姿が現れた。
しかし一向に私を見ない。
「やぁ、ハリー…」
声をかけると、ハリーは少し驚きながら私を見た。
「や、やぁ」
ハリーは小さく答えると、再び鏡を見てその場に座り込んだ。
どうやらアルバスの存在に気づいていないらしい。
アルバスは私を見ると、微笑みながらハリーに目を移した。
「ハリー、また来たのかい?」
ハリーは私以外のその声にびっくりして振り返った。
「ぼ、僕、気がつきませんでした」
「透明になると、不思議に随分近眼になるんじゃのぅ」
アルバスは微笑みを浮かべたまま言った。
そしてハリーの横に一緒になって座った。
「君だけじゃない。何百人も君と同じように、みぞの鏡の虜になった」
私はしばらく2人の会話を静かに聞いていた。
アルバスはハリーにみぞの鏡がどんなものかを教えた。
「ハリー、この鏡は明日余所に移す。もうこの鏡を探してはいけないよ。たとえこの鏡に出会うことがあっても、もう大丈夫じゃろう。夢に耽ったり、生きることを忘れてしまうのはよくない。それをよく覚えておきなさい。さぁて、その素晴らしいマントを着て、ベッドに戻ってはいかがかな」
ハリーは立ち上がりマントを手に取った。
そしてチラリと私を見る。
「あの、ユウキは…」
「ユウキはわしと話すことがある」
私が手を振ると、ハリーは軽く手を振ってから透明マントをかぶりながら部屋を出ていった。
私は立ち上がり、アルバスの横へ立った。
鏡の正面からずれていて、鏡には私とアルバスしか映っていない。
「ユウキはこの鏡を覗き込んだかね?」
「…いえ、恐くて見れません」
私は正直に答えた。
この鏡にはどんな自分が映るのかを知るのが恐かった。
私の望みはなに?
セブルスと仲良く過ごすこと?
いつまでもみんなと笑い合っていること?
それとも、元の世界に戻ること?
家族やマリたちと仲良く笑い合うこと?
私はどちらの世界の望みでも見たくない。
本当の望みを知りたくない。
「そうか。それが一番良いのかもしれぬのぅ」
ゆっくりとアルバスの顔を見上げると、こちらを見て優しく微笑んでいた。
そう。今はこれでいい。
鏡に映る、小さな私と優しい表情のアルバス。
「さて、良い子は寝る時間じゃぞ」
「私良い子じゃないですよ?」
私とアルバスは笑いながら部屋を後にした。
次、あの鏡を見るのは決戦の日だ。