17.クリスマス
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いつの間にか着いていたセブルスの私室の扉を叩いた。
相手が誰かわかっているのか、中から「入れ」とぶっきらぼうに声がかかり、私は大人しく中へと入った。
セブルスは何か書き物をしていたが手を止めた。
「突然お邪魔しちゃってすみません」
「いや、構わん」
私はその返答に少しホッとしながらセブルスに近寄った。
「あの、ブレスレットありがとうございます」
「あぁ」
素っ気ない返事。
私は少しムッとした。
気に入ったか?とかの一言はないのだろうか。
「なぜこれを私に?」
「それには魔法がかけてある」
なぜに魔法を?どんな魔法?
私の顔に出ていたのか、セブルスは私をチラリと見ると言った。
「危険な時、お前を守るものだ」
「へぇ、そんなすごい魔法を……ありがとうございます」
笑顔を向けると、セブルスはペンを動かしながらフンッと鼻を鳴らした。
「セブルスって優しいですよね」
そう言うと、セブルスの手がピタリと止まった。
そして驚きの表情を私に向けた。
「なんですかその顔は。だって怪我したらなんだかんだ言って心配してくますし、この前寮に送ってくれた時はくっついても文句言うだけで突き放したりしませんでしたし、こうやって魔法をかけたプレゼントもくれますし。優しいじゃないですか」
言い終わり、私はもう一度笑顔を向けた。
セブルスは気にくわないような表情をしたが、微かに頬が赤くなった気がした。もしかして照れてる?
「用が済んだなら出ていきたまえ」
セブルスは溜め息をつき視線を机に戻し、再び手を動かした。
「えー、さっきは構わないって言ったじゃないですか」
「少しならという意味だ」
「クリスマスなんですよ?ゆっくりしましょうよ」
「我輩は忙しい」
「そう言えば足の怪我どうなりました?」
フラッフィーに噛まれた怪我の手当ては、12月半ば辺りでセブルスに「不要だ」と言われやめていた。
最後に見た時は傷もなんとか塞がってはいたが、それは表面だけ。
内部はまだ治りきっていないし、激しく動けば、また傷口は広がるだろう。
「まだ歩きにくそうにしてますよね」
「大分よくなった」
「それならよかったです」
「話が終わったなら早く行け。子供は子供らしく外で遊べ」
セブルスは立ち上がると私の背中をグイグイ押して、私は部屋から追い出されてしまった。
もう少し話していたかったんだけどな…。
寮へ戻ろうとしたが、途中で双子に捕まり、雪合戦に参加させられた。
双子の他にはハリー、ロン、パーシーがいた。
「チーム分けはどうするの?」
私はジョージに尋ねた。
するとフレッドが代わりに答えた。
「もう決まってる。僕達とユウキ対ロン、ハリー、パーシーさ」
「姫を守るには一緒のチームにならないとな」
ジョージが私の肩を掴んだ。
すかさずフレッドも反対側の肩を掴む。
「なんでユウキがそっちのチームなのさ」
「僕たちだってユウキと組みたい」
ロンとハリーが抗議するが結果は虚しく、先程言ったチームで決まってしまった。
「いいか、魔法無しの雪合戦だ」
「ルールは簡単、相手が降参するまで続ける」
「雪玉に石とか混ぜるなよ?」
「わかったな?」
フレッドとジョージが簡単に説明すると、みんな頷いた。
そしてお互い離れて、一定の距離を置いた。
「準備はいいな?」
フレッドがみんなに声をかけた。
それぞれの手にはすでに雪玉が握られている。
みんなが返事をすると、フレッドとジョージの声が響いた。
「「よーい…始め!」」
その瞬間一斉に雪玉が宙を舞った。
私はパーシーから飛んできた的外れな雪玉を軽く避け、パーシーに向かって投げた。
見事顔面に当たり、パーシーはその場にしりもちを着いた。
「いいぞ、ユウキ!」
雪玉を投げながらジョージが言った。
ジョージが投げた雪玉はパーシーの額に直撃した。
「もう一発!」
今度はフレッドが投げた。
パーシーは顔を庇おうと手で隠しながら横を向いたが、耳に直撃した。
私は体にハリーの雪玉を受けながら、ロンに雪玉を投げつけた。
双子はハリーに向かって雪玉を同時に投げ、ハリーは避けきれずに体に当たった。
「姫に当てるなんて!」
フレッドは言葉とは裏腹に楽しそうに言った。
その間にジョージがロンに雪玉を投げている。
私が雪玉を作っていると、前方から雪玉が飛んできた。
顔面に当たると思ったが、フレッドが手で雪玉を受け取るようにして庇ってくれた。
「ユウキ、雪玉!」
「はいっ」
フレッドに雪玉を渡すと、パーシーに投げつけていた。
「ユウキ、僕もだ」
ジョージが飛んできた雪玉を腕に受けながら手を差し出してきたので、少し大きめのを渡した。
するとニヤッとしてハリーに投げつけた。見事に顔面に当たり、ハリーは雪の着いた眼鏡を擦った。
「ハリー、仕返しだ!」
私はハリーに雪玉を投げた。
顔を狙ったはずだった雪玉は手に当たり、ハリーが持っていた雪玉は手から離れた。
取り敢えず当たったしいっか。
ハリー達のチームは全体的に命中率が低く、フレッドとジョージは異常に命中率が高かった。
明らかにハリー達の方がふりだったのは言うまでもない。
そんなこんなで雪合戦はどちらも降参することはなく、暗くなってきたのでお開きとなった。
全員びしょびしょで、談話室に戻って暖炉の前に座った。
1日はしゃいで疲れてたのか、その日の夜はみんな早くに部屋に戻った。
「ユウキ、まだ寝ないのか?」
ジョージが寮へ上がる階段の下で立ち止まり、1人掛けのソファに座る私に言った。
「もう少ししたら寝るよ」
「そうか」
「「おやすみ」」
フレッドとジョージが声を揃えて言った。
「おやすみ」
2人は階段を上がっていき、談話室には私だけになった。
私は肘掛け椅子に身を隠すように座り、眠りそうになりながらも耳を澄ませた。
ハリーのプレゼントに透明マントがあったはずだ。
そして、今日か忘れたけど寮から抜け出すはず…。
私はセブルスからもらったブレスレットを眺めながら、静かに待った。