15.怪しすぎる男
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あの事件以来、ハリー達の仲は深まったようだ。
トロールをみんなで倒したという経験がよかったのだろう。
ロンもハーマイオニーに謝ったし、よしとしよう。
今日はセブルスに言いつけられた処罰の日。
私の傷は少し痛むくらいで、もう綺麗に治っている。
今思えば、私を運んでくれたセブルスの脚には、フラッフィーにやられた傷があったんだ。
幸せに浸りすぎてそんな大事なことを忘れるなんて!
昨日もなんだかんだで行けなかったし…。
私は夕食をとった後、セブルスの私室へと向かった。扉を叩くが返事がない。
おかしいな。大広間にもいなかったけど、どこか行ってるのかな?
「アマクラです。スネイプ教授?いらっしゃらないんですか?」
もう一度叩こうとすると扉が開いた。
そしてなんとフィルチが出てきた。
どうしてフィルチが?
フィルチは私をジロリと見た後、横を通って行ってしまった。
「Ms.アマクラ、入りたまえ」
「あ、はい。失礼します」
部屋の中に立つセブルスに言われて中へ入った。
セブルスの机の上にレポートの束にまざって包帯が見えた。
どうやら隠したつもりらしい。
フィルチは包帯を渡しに来ていたのか。
「それでは処罰だが…」
「あの、ちょっといいですか?」
言葉を遮りながら、私はセブルスに近づいた。
セブルスは不機嫌そうに私を見下ろす。
「なんだね?」
「失礼します!」
私は思いきって大胆な行動に出た。
しゃがんでセブルスのズボンの裾を捲ったのだ。
だってそうしないと傷が見れない、というか見せてくれないだろうし。
私が見たそれは酷いものだった。大きな傷が口を開いていた。手当てをしていないようだ。
私の怪我より酷いじゃん!
「何をする!」
「わっ」
私はセブルスに突き飛ばされしりもちをついた。痛いよ馬鹿!
「貴様…!」
怒ったセブルスは私を睨み付け、足を引きずって近づいてきた。
恐さなんかに負けるか!
「ちゃんと手当てしてください!」
「なぜ傷のことを知っている」
「お忘れですか?私は未来を知っているんです。傷のことくらい知ってます。まぁ、色々あってちょっと忘れてましたけど…」
私がそう言うと、セブルスは苦虫を噛み潰したような表情で私を見据えると、椅子にドカッと座った。
「なんですぐに手当てしなかったんですか?」
「色々とやることがあったのだ」
立ち上がり汚れを払いながら尋ねると、ぶっきらぼうな返事が返ってきた。
きっとクィレルのことで探ったりしてたんだろうな。
「手当てしますから脚出してください」
「……」
「ちゃんと手当てしないと、下手したら腐りますよ」
「…ふんっ」
セブルスは観念したのか、そっぽを向いて脚を出した。
なんかかわいいな。
こんな素直なセブルスなんて激レアなんじゃない?
私はしゃがみ込んで脚を見た。
セブルスの生脚…あ、違う違う。傷の手当てしなきゃ。
「酷い…」
大きな傷の周りにもいくつか小さいとは言えない傷があり、ズタズタだった。
正直ぐろい。縫わなくて平気なんだろうか。
よく放っておけたものだ。
「医務室には…」
「行かん」
「ですよね…。薬はありますか?」
「上から2番目の1番左だ」
セブルスはそっぽを向いたまま、一つの棚を指差し言った。
私は小さく笑いながら薬を取り、手当てを始めた。
魔法で薬を取ってくれないあたり、不貞腐れてるんだろうな。
「あんな凶暴な犬のところに一人で行くなんて…あ」
おっと口が滑った。早々に自爆しちゃったよ。
セブルスは一瞬驚いた表情をした。
「まさか行ったのか?」
「や、やだなぁ、行くわけないじゃないですか。ほら、元々知ってましたし、わざわざ行く必要なんて…」
「行ったのか?」
「…はい。行きました」
あまりの迫力に負け、白状してしまった。
一言にあんなに迫力を持たせることができるのは、セブルスくらいだよ…。
「でも仕方がなかったんです!許してください…」
セブルスは私をしばらく見据えた後、盛大な溜め息をついた。
「手を動かせ」
「あ、はいっ」
私はいつの間にか止まっていた手を動かした。
「怪我はしていないのであろうな?」
「し、してませんよ。してたら医務室どころか天国行きです」
何も言い返さないので私が大人しく手当てをしていると、セブルスが口を開いた。
「忌々しい奴だ。3つの頭を同時に注意するなんてできるか?」
「あれは無理ですね。私は運がよかったです」
あの時はフラッフィーの戸惑いと、みんながいたことで救われたようなものだ。
私が軽く笑いながら答えていると、キィと音が聞こえて急いで振り返った。
扉のところにはハリーがいた。
セブルスもすぐにそれに気がついた。
「ポッター!」
「動かないでください!」
セブルスは怒りに顔を歪め、急いでローブで脚を隠した。
そして立ち上がろうとするので、私はセブルスの肩を押さえて止めた。
「本を返してもらえたらと思って」
ハリーはセブルスと私の顔を交互に見ながら言った。
今日だったのか…。