11.飛行訓練の災難
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あと地面まで2メートルほどのところで、私は一層力を込めた。
するとネビルの体が一度ガクンと揺れ、ドサッと地面に落ちた。あぁ、痛そう。
フーチは真っ青になってネビルの上に屈み込んだ。
「手首を捻挫しているわ」
よかった。捻挫だけで済んだのか。私はその場にドサリと座り込んだ。額には汗が滲んでいる。
なんだかすごく疲れた。
「どうしたアマクラ。あいつが落ちて冷や汗でも出たか?」
何も気づいていないドラコは私を嘲笑った。
「うるさい」
今はドラコの相手をする気はない。
だって疲れたんだもん。予想以上に。
というか予想をはるかに超えるほど。
右手を見てみると、プルプルと震えていた。杖はいつの間にか地面に落ちている。
動かすと少し痛い。
「立てますか?」
顔を上げるとフーチが心配そうに私を見ていた。
私は左手で杖を拾い立ち上がった。
少し体が重い。
ネビルは倒れていた場所で立って泣いている。
「私が2人を医務室へ連れていきますから、その間誰も動いてはいけません」
他にも少し言ってから、フーチは私とネビルを連れて医務室へ向かった。
みんなはなぜ私が連れていかれるのかわかっていない様子だった。
医務室へ着くと、私とネビルは椅子に座らされ、フーチがマダム・ポンフリーに説明をした。
「なんて無茶をしたんですか!」
そう私に言うと、ぶつぶつ言いながら羊皮紙になにやら書き、ふくろうを飛ばした。
そのふくろうは一体どこから?
「マダム・ポンフリー。怒る前にネビルを手当てしてあげてください」
私はマダムに怒られおずおずと言った。
マダムは相変わらず怒っているようだったが、ネビルの手当てを始めた。
その間にフーチが話しかけてきた。
「あんな呪文で落下を止めようなど、何を考えているのですか」
「他に呪文が思い付かなかったんです」
「そういう意味ではありません!」
なんとかなったんだしいいじゃんか…。
しょんぼりしていると、医務室の扉が開いた。
「ス、スネイプ教授…」
「わざわざすみませんね」
入ってきたのはセブルスだった。
手には薬瓶を持っていて、それをマダムが受け取った。
セブルスは私をチラリと見た。
すると、フーチが私が何をしたか説明しだした。
みるみるうちに眉間の皺が深くなっていく。
こ、怖いって…。
「では私は生徒たちが待っているので」
フーチはセブルスに説明し終わると、すぐにそう言って医務室から出ていった。
言い逃げするなよ…。
セブルスはゆっくりと近づいてきて、私の前に立った。
私は視線だけを上げる。
セブルスはじっと私を見据えた後、ネビルを見た。
恐怖で縮こまっている。
そして再び私を見ると言った。
「またこやつかね。Ms.アマクラ」
「いや…まぁ」
「まだ魔法も魔力も上手く使えないくせにこんなことをしおって。校長から言われたであろう。“無茶をするな”と。もう忘れたのかね?」
なんでそのことをセブルスが!ダンブルドアめ、話したな!
…あ、私が聞いてもいいってセブルスに言ったんだっけ?
「わ、忘れてませんよ。ただ、つい…」
「ついではない。お前が何かする度、我輩が呼び出されるのだぞ」
監視役って大変なんだ。
呼び出されるとかもう保護者の域だけど。
それにしても不機嫌そう…。
「話しはそこまでにして。さぁユウキ、飲みなさい」
私達を遮って、マダムがゴブレットを渡してきた。
中を見ると緑というか茶色というか…ドブから汲んできたんですか?ってほどすごい色をした液体が入っていた。
不思議と無臭だ。
マダムを見ると「飲みなさい」と言われ、セブルスをチラリと見ると…睨まれた。
私は意を決して気持ち悪い液体をグイッと一気に飲んだ。
「まずっ…」
「おいしい薬なんてありません」
そりゃそうだけど…。
体の中にスーッと薬が染み渡るのを感じた。すると、ふわっと体が軽くなった。
「さぁ、手を出して」
大人しく手を出すと、マダムは私の手首に透明なトロッとした液体を擦り込むように塗った。
塗り終わると包帯を巻かれた。
不思議と手首の痛みは軽くなっていた。
「夕食の時間まで寝てなさい」
「え?でも」
マダムが奥のベッドを指差した。
私が渋っていると、セブルスが睨んできて一言。
「寝ろ」
「は、はい…」
セブルスに「寝ろ」なんて言われるとは…。
私はあまりの迫力に返事をした。
「じゃあネビル。また後でね」
「う、うん。ありがとう」
ネビルはセブルスを見てびくびくしながら医務室を出ていった。
お礼を言われると、やっぱり助けた甲斐があるよね。
「さぁ、こちらに」
私はマダムに言われ、ベッドに座った。
なんだか頭がふわふわする。
薬のせいかな?
横になるとセブルスが来た。
「明日、午後8時に我輩の部屋へ来たまえ。無茶をしないようたっぷりと教え込ませてやろう」
「け、結構です!」
そう言ったにも関わらず、セブルスは私を無視して行ってしまった。
私は溜め息をつき、布団をかぶって目を閉じた。