11.飛行訓練の災難
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―飛行訓練は木曜日に始まります。グリフィンドールとスリザリンとの合同授業です。―
グリフィンドールの談話室のお知らせに掲示された嫌な文。
「あぁ、これか…」
初の飛行訓練と言えば、ネビルが手首を折るやつだ。
これは助けるのは難しい気がする…。
飛ぶのを阻止するしかないけど、そうするとハリーがクィディッチの選手になれなくなる可能性がある。
だからと言って飛んでからじゃ打つ手は…。
「ユウキ、一緒に朝食に行こう」
「飛行のコツでも教えるよ」
お知らせを見ていると、フレッドとジョージが後ろから話しかけてきた。
飛行のコツか。ネビルが暴走するから飛ぶことはないんだけどね。
「ごめん。ハーマイオニーと約束してるから。また今度ね」
断ると二人は少し残念そうに去っていった。
本当は約束なんてしてないけどね!
あの双子に朝から絡まれたら大変だ。
「ハーマイオニー、一緒に朝食食べに行こうよ」
「いいわよ」
私はハーマイオニーと大広間へ行き、飛行訓練のことを話しながら朝食をとった。
途中、いつものようにふくろうたちがなだれ込んできた。
私の前にヒスイがやってきた。
手紙を持っている訳ではない。時々こうして遊びにくるのだ。
「ヒスイ、元気?」
『うん。でも仕事がなくてつまらないや』
「ごめんね」
私は謝りながらヒスイを撫でた。
バクォンにもらった動物と話ができるこの能力を使い、結構楽しく過ごしている。
こうしてヒスイとも話せるしね。
『あ、行かなきゃ。じゃあまたね!』
他のふくろうたちと一緒に、ヒスイは飛んでいってしまった。
隣にいたハーマイオニーが不思議そうに私を見ているのに気がついた。
「あなた、動物と話せるの?」
「いや、なんとなくだけど」
「そう…」
この能力のことは隠していた。
話すと面倒なことになりそうだしね。
気がつけば木曜日になっていた。
ちなみにセブルスの顔はあの日以来まともに見れていない。
だって未だに恥ずかしいんだもん。
食事の時に盗み見はしてるんだけどね。
朝食をとっていると、いつものようにふくろう達が慌ただしく出入りしていた。
そしてネビルの前に小包みがぽとりと落とされた。
ネビルはウキウキしながら包みを開けている。
なんで監視しているかって?真横にいるからだよ。
「『思い出し玉』だ!ばあちゃんは僕が忘れっぽいこと知ってるから―」
ネビルが思い出し玉の説明をし、実際にやってみた。
ぎゅっと玉を握ると、思い出し玉の中の白かった煙は突然真っ赤になった。
君は忘れていることが多すぎて、常に真っ赤なんじゃないだろうか…。
ネビルが何を忘れたのか思いだそうとしていると、ドラコたちがグリフィンドールのテーブルのそばを通りかかり、玉を引ったくった。
ハリーとロンが意気揚々と立ち上がり喧嘩をしそうだったので、私は隙を見てすぐさま玉を奪い返した。
「何も言わずに引ったくるのはよくないよ」
「お前は…」
「ユウキ・アマクラだよ。ドラコ・マルフォイ君」
これがドラコとの初の接触だ。
なかなか機会がなかったんだよね。
「あぁ、薬を被ったアマクラか」
ドラコが私を馬鹿にしたように笑った。
やっぱりまだ子供だな。嫌みがかわいらしいよ。
「そうだけど?君の茹でたナメクジなんて興味なくてね。つい違う方に目が行ったのさ」
「なんだと?」
べーっと舌を出すと、ドラコは顔を赤くした。
怒って何かしてくるかな?と思ったが、サッとマクゴナガルが現れた。
「どうしたんですか?」
「いえ、何でもありません。話していただけです。ね?ドラコ」
ドラコはしかめっ面でクラッブとゴイルを従えて去って行った。
ちょっとからかうのおもしろいな。
「あれ?思い出し玉が真っ赤だ」
ネビルの言葉に反応して手の中の思い出し玉を見た。
確かに真っ赤だ。赤すぎて軽く黒っぽいよ。
絶対にセブルスとのあれだ。
思い出し玉は思い出し方は教えてはくれない。欠陥品だ。
私はネビルに玉を返した。
マクゴナガルを見ると、なぜか私を見て少し不安そうな顔をしていた。
その日の午後3時半。
飛行訓練のため、みんな校庭に集まっていた。
校庭の反対側には禁じられた森が見えた。
今思えば、夜の森に一人でいて、よく何事もなかったな…。
「何をボヤボヤしてるんですか。みんな箒のそばに立って。さあ、早く」
短い白髪に鷹のような黄色い目をしたマダム・フーチが言った。
かっこいい先生だなぁ。
地面には20本ほどの箒が並べられていた。みんなが箒の横に立つ。
フレッドとジョージ…もといフレジョによると、それぞれにくせがあるらしい。
あまり問題はないらしいが。
「右手を箒の上に突き出して。そしと『上がれ!』と言う」
フーチがそう言うと、みんな「上がれ!」と叫んだ。
ハリーとドラコの箒がすぐに上がったのが見えた。
私も試しに言ってみる。
「上がれ」
しかし、ピクリともしない。
「上がれ!」
やはり動かない。こんのボロ箒め!
「上がれ。薪にすんぞ」
日本語でそういうと箒はすぐさま飛び上がり、私の手に収まった。
案外利口だ。
そういえば、フレジョが「舐められないこと」とも言ってたっけ。
みんなが箒を持ち正しい握り方を学んだ後、いよいよ飛行だ。
笛の合図で飛ぶことになった。
さて、ネビルに怪我をさせないことができるか…。
「一、二の―」
笛が鳴る前にネビルが地面を強く蹴った。
止める間もなくヒューッと飛んでいく。
私はこの時のために少しだけ望みを託し、浮遊呪文を練習したのだ。
そう、あのビューン、ヒョイだ。
まだ授業で習ってないんだけどね。
ほら、もう知ってるし予習ってことで。
それ以前に上手く効くんだろうか……いや、きっといけるはず!
ネビルがぐんぐん空高く上がっていく。
私は箒を置き、杖を取り出して構えた。
てか先生どうにかしろよ!
そう心の中で叫んでいると、ネビルが箒から離れ落ちていく。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」
ネビルの服に向けて呪文を唱えると、ズシッと杖と腕全体が重くなり、かなりの負担がかかった。
ちゃんと落下物?にも効くのね。いっそ効かなきゃよかったのに!
ネビルの体は徐々に落下スピードをおとしていくが止まらない。
普通は持ち上げる呪文で落下を止めるものではないから、ブレーキ代わりくらいにしかならないか。