09.あなたを救うこと
Your Name
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「左様」
「生徒に使うのは禁止のはずです」
「では聞こう。貴様は誰だ」
「アマクラ ユウキです」
私が自分の意思で発した言葉には耳も貸さず、質問を続けた。
私は答えたくなくても答えてしまう。
「年齢は?」
「18歳です」
「18?嘘ではないのか?」
「嘘じゃないです」
セブルスは驚いて聞き返すが、真実薬を飲ませたのはあなただ。
真実しか言えない。
「わけがわからん…姿を偽っているのか?」
「私の意思じゃありません」
「では、それは本来の姿ではないのか?」
「はい」
「……元の姿には戻れないのかね?」
「私には方法がわかりません」
セブルスはどこか期待の眼差しで問うが、私にはそこまで気が回らない。
「誰がお前をここに連れてきた」
「誘拐犯」
「名前や姿はわかるか?」
「声しかわかりません」
やばい、どうする。
このまま質問に答え続けるわけにもいかない。
混乱からか、頭がぐるぐるしてうまく考えられない。
「…どこから来た?」
「こことは別の世界の日本から」
この状況ではかなりまずい。ここで未来のことを話してしまえば、私は元の世界へ帰されてしまう。
「別の世界か…では」
「未来のことだけは聞かないで!」
私は次の質問がくる前に、叫ぶように言った。
「…なぜだ?」
「この世界のことを話せば、私はここにいられなくなる。元の世界に帰されてしまうから…」
セブルスは眉間の皺を深くして私に顔を近づけた。
信じられないと言った表情だ。
「お願い。私にはしたいことがあるの…」
すがるように言った。
私の瞳から自然と涙がこぼれる。
なんでこんなに必死なのか、自分でもわからない。
だってこれは私の都合のいい夢かもしれないのに…。
セブルスは私の涙に一瞬驚いたようだった。
そして少し考えるように私から視線を逸らした後、再び私を見た。
「お前のしたいこととはなんだね?」
「セブルス、あなたを救うことです」
セブルスは私の言葉を聞いた途端、驚きを隠しきれずぎょっとして後ずさった。
私は自分の顔が熱くなるのを感じた。
きっと真っ赤になっているだろう。私は恥ずかしくてできるかぎり下を向いて顔を逸らした。
しばらくの沈黙の後、セブルスが再び行動を始めた。
私は下を向いていたので、セブルスが何をしているかわからなかった。
ただ、もう質問はしてこないようだ。
少しすると、私の近くで足音が止まった。
セブルスが私のすぐ横に立っている。
また何か言われるのと思い、ちらりとセブルスを見た。
「薬の効果はすぐに切れる。それまでここにいたまえ。紅茶は新しく入れておいた。もう何も入っていない」
テーブルを見ると、新しく淹れられて湯気が立っている紅茶があった。
そして紅茶の横には1冊の本が置かれている。
「最後に1ついいか?未来についてではない」
「…はい」
未来のことではないならいいだろう。
なんか反省してるみたいだし。
「なぜ、我輩をセブルスと呼ぶのだ?」
「昔、あなたがそう呼んでくれと言ったから」
ん?待て。今のは私が言ったの?
いやいやいや、昔とかセブルスに会ったことないし!
そんなの聞いてないし!!
ちょっと、私の知らないことしゃべらないでよ私!
私は意味がわからなくて頭を抑えて首を傾げた。
「真実薬って、自分の知らないことまで吐かせるようにできてるんですか?」
困惑した表情でセブルスを見ると、真っ黒な瞳が揺れていた。
「そんな訳なかろう…お前が忘れているだけだ」
いや、そんな忘れてるとかの問題じゃない。
記憶喪失?そんなことがあったら忘れる訳がないもん。
「では、教授は覚えていますか?その…私に呼べと言ったこと…」
「覚えておらん。我輩は少し出てくる」
私の質問にぶっきらぼうに答えると、セブルスは私に背を向けて部屋を出ていった。