ある流れ星の語るまばたき
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昼休みの図書室で 目当ての本を見つけたのは たった今のことである。1番奥の本棚の最上段。そこにレポート課題の参考にと探していたものがあった。届くかな。見上げる高さにあるそれに、少し不安を覚えながらも手を伸ばしてみる。(あと ちょっと…)指先からまだ少し距離が残ったので、左手を本棚にかけて 踵を持ち上げ 目一杯に右手を伸ばす。そうすれば中指の先はわずかに背表紙に触れるものの、本を引き出すには至らなかった。
図書室内のどこかにあるはずの踏み台を探して来ればいいだけだと頭で理解しながらも、取れそうで取れない距離感が悔しくて意地になる。あと少し、あと少しと踵を精一杯に持ち上げて腕を伸ばしていると、不意に背後から自分より幾分か高い位置に腕が伸びてきた。その手は目的の本を簡単に棚から抜き取り、ポンと私の頭にそれを乗せる。弾かれるように振り返れば、触れそうなほどすぐ近くにクラスメイトの姿があった。
「…倉持」
「ほら、これでいいのか?」
予想もしていなかった助け舟は、この場にとても似つかわしくない人物によるものだった。頭に乗せられた本を受け取りながら 反射的にお礼を述べたけれど、我ながら心のこもったものではなかったと思う。
「…倉持がどうして図書室に?似合わなさすぎ」
「ヒャハ!俺もお前と同じ授業受けてんだよ」
まぁ図書室なんてほぼ来たことねぇしお前の言いたいことは分かるけどな。助けてもらっておいて随分と失礼な物言いだったはずなのに、倉持は嫌な顔1つせず笑ってみせた。
「珍しく図書室なんて来てみたら、アホみたいに頑張ってる奴がいるじゃねえか」
「なっ…!」
「面白かったしもう少し見てるつもりだったのに、可哀想で思わず助けちまった」
「あのねぇ」
「…つーのはウソで、パンツ見えたからそのお礼」
「はぁっ!? なにそれ最低!!」
「ヒャハハ!嘘に決まってんだろ、信じんなよバーカ」
言っている事のどれが真実で何が嘘なのか分からない。でもパンツ云々はきっと嘘だろう、倉持はそういう奴じゃないと私は思っている。からかわれただけという事を悟り、わざとらしくため息を吐く。
「まぁ何でもいいや、ありがとう。助かった」
「タダで人助けなんかするかっつーの。レポート見せろよ」
「……ほんとしっかりしてるよね、あんた」
「世の中ギブアンドテイクだろ?」
倉持の抜け目ない発言にやれやれとため息を吐きながら、左手で髪を耳にかける。「はいはい、もう好きにして下さい」レポートでもなんでも見ればいい。そんな投げやりな気持ちで言葉を発すると同時に、左手首を掴まれる。何事かと首をかしげる様に視線を上げれば、こちらを見下ろす倉持と目があった。ギラギラと光を宿す眼に、ゴクリと喉を鳴らす。
「自覚ねぇと思うから教えてやるけど、佐倉のその仕草、お前が思ってる以上にエロいんだわ」
「え、…!?」
「“好きにして”も、違う意味に聞こえる」
「…っ、」
私から視線は逸らさないまま、掴まれた手首に倉持の口元が寄せられたかと思うと、チクリと小さな痛みが走る。離れた倉持の口元はニヤリと弧を描き、手首には小さな紅が滲んでいた。
「次煽ったらマジで喰うぞ」
強い光を宿した瞳は、きっと肉食動物のそれだ。チーター先輩と 目の前の彼を呼ぶ後輩の声が頭の中で響いた気がした。
図書室内のどこかにあるはずの踏み台を探して来ればいいだけだと頭で理解しながらも、取れそうで取れない距離感が悔しくて意地になる。あと少し、あと少しと踵を精一杯に持ち上げて腕を伸ばしていると、不意に背後から自分より幾分か高い位置に腕が伸びてきた。その手は目的の本を簡単に棚から抜き取り、ポンと私の頭にそれを乗せる。弾かれるように振り返れば、触れそうなほどすぐ近くにクラスメイトの姿があった。
「…倉持」
「ほら、これでいいのか?」
予想もしていなかった助け舟は、この場にとても似つかわしくない人物によるものだった。頭に乗せられた本を受け取りながら 反射的にお礼を述べたけれど、我ながら心のこもったものではなかったと思う。
「…倉持がどうして図書室に?似合わなさすぎ」
「ヒャハ!俺もお前と同じ授業受けてんだよ」
まぁ図書室なんてほぼ来たことねぇしお前の言いたいことは分かるけどな。助けてもらっておいて随分と失礼な物言いだったはずなのに、倉持は嫌な顔1つせず笑ってみせた。
「珍しく図書室なんて来てみたら、アホみたいに頑張ってる奴がいるじゃねえか」
「なっ…!」
「面白かったしもう少し見てるつもりだったのに、可哀想で思わず助けちまった」
「あのねぇ」
「…つーのはウソで、パンツ見えたからそのお礼」
「はぁっ!? なにそれ最低!!」
「ヒャハハ!嘘に決まってんだろ、信じんなよバーカ」
言っている事のどれが真実で何が嘘なのか分からない。でもパンツ云々はきっと嘘だろう、倉持はそういう奴じゃないと私は思っている。からかわれただけという事を悟り、わざとらしくため息を吐く。
「まぁ何でもいいや、ありがとう。助かった」
「タダで人助けなんかするかっつーの。レポート見せろよ」
「……ほんとしっかりしてるよね、あんた」
「世の中ギブアンドテイクだろ?」
倉持の抜け目ない発言にやれやれとため息を吐きながら、左手で髪を耳にかける。「はいはい、もう好きにして下さい」レポートでもなんでも見ればいい。そんな投げやりな気持ちで言葉を発すると同時に、左手首を掴まれる。何事かと首をかしげる様に視線を上げれば、こちらを見下ろす倉持と目があった。ギラギラと光を宿す眼に、ゴクリと喉を鳴らす。
「自覚ねぇと思うから教えてやるけど、佐倉のその仕草、お前が思ってる以上にエロいんだわ」
「え、…!?」
「“好きにして”も、違う意味に聞こえる」
「…っ、」
私から視線は逸らさないまま、掴まれた手首に倉持の口元が寄せられたかと思うと、チクリと小さな痛みが走る。離れた倉持の口元はニヤリと弧を描き、手首には小さな紅が滲んでいた。
「次煽ったらマジで喰うぞ」
強い光を宿した瞳は、きっと肉食動物のそれだ。チーター先輩と 目の前の彼を呼ぶ後輩の声が頭の中で響いた気がした。
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