もしも……
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「ハァ。ウチ、なにやっとんのやろ……」
光と話していた場所から逃げた私は、自分の家に帰ってリビングでさっきのことを考えていた。
「あんなことを言って、絶対に嫌われたわ……」
そして、自分で言ってて泣きそうになっていた。
ガチャッ
「ただいま~!あれっ、愛理、ソファーなんかに寝転がって何しとんの?光君の家に行っとったんやないん?」
玄関のドアが開く音がしたと思ったら、寮生活をしているお姉ちゃんが帰ってきた音だった。そして、ソファーで寝転がっている私を見るなり、聞いてきた。
「…お姉ちゃんこそ、何で帰って来とんの?」
「ん?ウチは、冬物の服と入れ替えにする夏物の服を取りに来たんよ」
私は、自分よりも本来居るはずのない姉が居る理由を聞いた。すると、姉は、あっさりと答えた。
「そうっすか……ねぇ、お姉ちゃん」
「なんや?」
「高校生の時に告白した幼なじみとは、良好なん?」
「当たり前やん」
私は、姉に幼なじみである彼氏とはどうなのか聞いた。姉は、私に笑顔で返事を返してきた。
「愛理が何を悩んどるのか知らんけど、さっさと告ったら?悩んでたって何も変わらへんよ」
「お姉ちゃんに言われんでも、それくらいわかっとるし……」
姉は、何故、私が悩んでるとわかったのかわからないがアドバイスをしてきた。私は、姉からのアドバイスが自分でもよくわかってる内容だったので、そう返事をした。
しかし……
「いーや、愛理は何もわかってない。冷静になって考えてみな。アンタ今まで何してきたん?」
「何って……」
「答えられへんやろ。そらそやわ。アンタは今まで幼なじみ以上になりたいくせに、ふられて幼なじみに戻れなくなるのを怖がって、ただ好みの女の子になって向こうから来るのを待っとっただけやもん」
「……」
私の返事は、姉にあっさりと否定された。しかも、図星を突かれることを言われたので、私は何も言い返せなかった。
「あげくの果てには、不安にかられて相手を試すことばっか言って、自業自得やわ」
「……」
姉は、まるでさっきの私と光のやり取りを見てたかのように的確なことを言ってきた。
「どの道、愛理が光君を好きになった時点で、もう幼なじみには戻られへんのやで」
「うん…。(確かに、お姉ちゃんの言う通りかもしれない…)」
これまでの会話を含めて姉の言ったことが、正しく思えたので、私は頷いた。
「あれっ、そういえばお姉ちゃんが手に持っとる鞄……」
「あぁ、これ愛理のやろ。さっき、家の前で光君に会って渡されたんやけど……」
ふと、姉が手に持ってた鞄に見覚えがあったので、聞いてみると意外な答えが返ってきた。
「お姉ちゃん、ちょっとウチ出掛けて来るわ!」
「行ってらっしゃい~」
姉の答えを聞いた私は、いてもたってもいられなくなり、家を飛び出した。
「さっき会ったのなら、まだ、近くにいるはず」
家を飛び出した私は、光を探してあちこち走り回った。そして、さっきの場所で一人でいる光を見つけた。
「光っ!!」
「愛理、急にどないしたん?」
「あの……さっきはホンマにごめん!それでな、ウチにこんなこと言う資格ないんやけど、光に言いたいことがあんねん」
「言いたいことって、なんやねん」
私が名前を呼ぶと光は、驚いた顔をしながらこっちに来た。私は、光にさっきのことを謝り、言いたいことがあると言った。光は、ちょっと怪訝そうな顔をしながら聞き返してきた。
(そう、どうせ幼なじみに戻られへんのなら、例えフラれたとしても……ウチは……)
「ウチな、光のことが小学生の頃からずっと好きや!せやから、ウチと付き合……って、えっ!?」
私は、覚悟を決めて光に告白した。すると、告白している途中で光に抱きしめられた。
「ちょ、ちょっと光!?」
「俺もな、ずっと愛理のことが好きやったねん」
急に抱きしめられたので、どうしたら良いのかわからずパニックになっていると、光は告白の返事を言ってきた。
「そ、そんなん嘘や…だって、3年前の小5の時に一回ウチをふっとるやん」
「あれは、自分が試すように聞いてきたからやん。ほんで、俺はからかわれとるんやと思って、あんなことを言うたんや」
「えっと……ごめん……」
告白の返事が信じられなかったので、私は3年前のことを言った。すると、光は3年前に何でそう答えたのか理由を話してくれた。理由を聞いた私は、3年前も自分が悪かったのだとわかり、光に謝った。
「せやから、お返しな」
「??」
光の言っている意味がわからない私は、下げていた頭を上げて光の顔を見ると、何か企んでいるような顔をしていた。
「もしも、今から俺が愛理にキスするって言うたらどないする?」
「えっ!?……いや、それは……ちょっと無理かな……」
「却下や」
「えぇっ~~~~!?」
“もしも”という言葉は、使い方によっては相手を傷付ける。
だけど、こんな使い方の“もしも”ならありかもしれない。
-fin-
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