もしも……
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次の日
ピンポーン
ガチャッ
「思ったよりも早う来たんやな」
「だって、親が早めに出掛けてしまったんやもん」
「まぁ、とにかく上がれや」
「うん。おじゃましま~す」
私がインターホンを鳴らすと、玄関が開いて光が出て来た。光は、私が予定より早く来たことに驚いたようなことを言っていたが、顔は普段と変わらず無表情のままだった。光に促された私は、家の中に入った。
(こうして並んで歩くと、光、背が高いな~。昨日、手を捕まれた時に思ったけど、手も大きいし。昔は、ウチの方が背も高く手も大きかったから、昔とは正反対やな)
私は、そんなことを思いながらリビングに続く廊下を光の後を着いていくように歩いていた。
「愛理が来たで」
「おばさん、こんにちは」
「あら、愛理ちゃん。よく来たわね~。何にもないけど、ゆっくりしていってや。」
「はい!」
リビングに入ると光が母親に私が来たことを伝えた。光のお母さんは、私の方を見て笑顔で言ってきた。私は元気よく返事をした。
「そういえば、新曲が出来たんやけど、聞くか?」
「ホンマに!?聞かせて!」
「なら、俺の部屋に行くで」
「うん!」
光は思い出したかのように聞いてきた。私は笑顔で返事をして、光の部屋に行った。
「こんな感じやけど、感想は?」
「めっさええ曲やん!アップテンポが急にしっとりになったり、聴いてる時に色んな場面が想像できたわ。こんな曲を作るなんて、光はやっぱ天才やな!」
「俺の作った曲を聞いてそこまで言ってくれるんは愛理だけやわ」
光の部屋で新曲を聞かせてもらった私は、感想を聞かれたので、自分が感じたままに答えた。感想を聞いた光はいつもより少しだけ微笑んでいた。
「ねぇ、今度は何する?」
「何でもええわ」
「じゃあさ、テニスしよう!」
「はぁ?自分、アホなんとちゃう」
新曲も聞き終わって、やることがなくなったので、次は何をするのかを聞いた。すると、光は“何でもいい”と言うので、私はテニスをしようと提案した。私の提案を聞いた光は、“こいつ何いっとんねん”って顔で言ってきた。
「アホちゃうもん!」
「いいや、テニス部で天才って呼ばれとる俺にテニスを挑むんやから愛理はアホや」
「言ったな~!!こうなったら、テニスで決着をつけたるで!!」
「なんでそうなんねん……」
私がいくら否定しても私をアホだと言い続ける光に私は、テニスで決着をつけることにした。
「で、何でゲームのテニスで勝負しとんねん」
「だって、ウチが光と普通にテニスで勝負しても勝てるわけないやん」
「せやからって、普通、俺があまりやらへんから得意やないのを知っとって挑むか?」
「うん。挑む」
そう、私達は、ゲームのテニスで勝負をしていた。呆れて文句を言いながらも付き合ってくれている光に私は、笑顔で返事を返した。
「よっしゃ!勝ったで!」
「ハイハイ。おめでとさん」
「これで、ウチはアホやないって、認めるんやで」
「いちいち言わんでも、わかっとるわ」
ゲームとはいえ、勝った私は光にアホじゃないと認めるように言った。光は鬱陶しそうにながらも承諾してくれた。
「光、決着がついたなら、ちょっと足りない材料を買ってきてくれない?」
「わかった。ほな、ちょっと行ってくるわ」
「行ってらっしゃい~」
私達の戦いに決着がついたのを知った光のお母さんが光におつかいを頼んだ。光は、了承して出掛けて行った。
「光、遅いわね…愛理ちゃん、悪いんだけどちょっと見てきてくれない?」
「わかりました」
光が出掛けてから30分近く経つのに帰って来ないので、心配になったおばさんに頼まれて私は探しに行った。
「まったく、どこをほっつき歩いてるんだか……ん?あれは……」
軽く文句を言いながら探していると、少し離れた所に見たことのある二人組を見かけた。
「光と如月さんだ。何を話してんのやろ?ちょっと、近付いてみよ」
光とクラスメイトの如月さんを見つけた私は、何を話してるのか気になったので、近付いて内容を聞いてみることにした。
「……なんや、光の顔が今まで見たことのないくらいに楽しそうな顔しとるわ……。それに、如月さんのあの顔は、恋してる女の子の顔や……」
二人にバレない程度に近付いたので、話しの内容までは聞こえなかったが、表情はよく見えた。
「もしかして、如月さんも光のことが……ヤバッ、光がこっちに来る!」
そんなことを思っていると、話しが終わったのか光がこっちに向かって歩いて来た。
「自分、そんなところで何しとんねん」
「べ、別に何もしてへんよ。おばさんに頼まれて光を探しに来ただけや」
「それは悪かったな」
光に見つかり、何をやってるのか聞かれたので、私はごまかしながら理由を言った。すると、光は素直に謝った。
「光の方こそ、如月さんと何の話しをしとったん?」
「なんや、見とったんか。まぁ、ちょっとな……」
光に何の話しをしてたのか聞くと、光は罰が悪そうな顔をしながら答えた。
「……如月さんって、女の子らしくて可愛ええよな。それに、家庭的な子って話しも聞くし……」
「まぁ、そやな」
さっきの光の楽しそうな顔を見ていた私は、光がどんな反応をするか知りたくて、如月さんのことを言ってみた。光は、いつもと変わらない顔で私の言ったことに同意した。
「なぁ、もし、もしもやで。如月さんが光のことを好きやったら……」
「俺、前から思っとったんやけど、愛理のその『もしも』話、なんや試されとる感じがしてめっさ嫌やわ」
光が如月さんのことをどう思ってるのか確かめようと思い、さりげなく聞こうとしたら、光から思ってもみなかった言葉が返ってきた。
「……。」
「言いたいことがあるんならはっきりと言えや」
「せやね……光の言う通りや……ごめん……忘れて!」
「あっ、おい!何処に行くねん!」
光に言われたことに対して黙っていると、当たり前の事を言われた。私は、自分が恥ずかしくなったので、光に一言謝ってからその場を離れた。
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