第7話・春に舞う花弁
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一期「・・・」
本丸の一室で一期一振はぼんやりと庭を見つめていた
一期だけではない、江雪や宗三、燭台切もどこか浮かない顔をしている
鶴丸「(まあ。無理もないか)」
その様子を見ていた鶴丸国永は思った
彼らの弟である短刀達は揃って新しく来た審神者に懐いてしまったのだ
短刀達だけではない
加州に三日月、山姥切に大倶利伽羅といった面々も審神者についている
鶴丸「(前の審神者に酷い仕打ちを受けた。だから俺たちは審神者・・・人間が信用ならなくなった)」
特に短刀たちは酷使され手入れもされないことがほとんどだった
ゆえに人間への恐怖心は大きかったはず
それなのに
鶴丸「(離からは賑やかな笑い声が聞こえてくる。離だけじゃない・・・この本丸全体が浄化されている)」
淀んでいた空気は済んだものに変わりつつあるのだ
それは誰もが実感していたこと
それでもまだ、審神者を・・・人間を信用できない
そんなある日だった
五虎退「主様・・・こっちです」
乱「こっちこっち!!」
薬研「五虎退、乱。あんまし大将を急かすなよ」
本丸の庭に短刀達に手を引かれた審神者が現れたのは
ショールで顔こそ見えないが
審神者が本丸へとやってきたことに警戒する刀達
江雪「・・・本丸には近づかないと言っていたのではありませんか?」
その問いかけに答えたのは彼の弟でもある小夜だった
小夜「僕たちがお願いしたんです。兄様」
厚「用事が済んだらすぐにいくよいち兄」
薬研「そーいうことだから旦那かた、しばらくは大人しくしといてくれや」
一体何が始まるのかと集まってくる刀達
審神者は五虎退に手を引かれて庭の中央にある桜の木へ向かっていた
五虎退「この桜です・・・」
乱「枯れちゃって・・・桜が咲かないんだ」
『だいぶ邪気に当てられてしまったのね』
小夜「もう咲かないの?」
見上げてくる小夜の頭を撫でながら微笑む
『大丈夫よ。この木はまだ死んでいないから』
そういって審神者は枯れている木の幹に手を当てる
次の瞬間、暖かな風が吹き
枯れていた桜は満開の花を咲かせたのだ
桜だけではなく、庭の草木も生気を取り戻したのだ
その様子に喜ぶ短刀達
薬研「桜か・・・」
薬研がポツリと呟く
薬研「大将の一番好きな花だな・・・」
三日月「主の?」
三日月の言葉に薬研は頷く
桜という花は彼女にとって”特別”なのだ
短刀達に囲まれて笑う主の姿
薬研「大将は・・・あの審神者とは違うぜ。いち兄、みんな」
。