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重い体をベッドに投げ出す。
今日の仕事もハードだった…。
私はハンター資格を活かし、
ブラックリストハンターとして活動している。
このヨークシンシティでは現在
オークションが開催されており、
世界中から国宝級の金品や珍品が集結している。
欲望を満たすべく、数多くの大富豪や
マフィアなどが集まる反面、
それらをカモに悪行を働く輩も多い。
私はそれを逆手にとって、この都市に
蔓延る賞金首たちを何人も捕らえた。
「お風呂でゆっくり体ほぐそー」
「俺も一緒に入っていい?」
背後から声がして、瞬時に忍ばしていた銃を構える。
「おー、こわ。熱烈な歓迎だな」
「キルア。あんた、どこから入ったのよ」
「細かいことは気にすんなって」
そう言って壁にもたれていた彼は
そのままルームの冷蔵庫を漁り始めた。
彼はキルア=ゾルディック。
彼とはハンター試験で出会った。
試験中彼の方から頻繁に絡んできたけど、
彼の家業を知ってから、距離を置いていた私。
最終試験で彼が受験生を殺し、
会場を後にしてから私は彼に会っていない。
正直彼には失望した。
どんな理由があろうとも人を殺した
彼を素直に受け入れることが出来なかった。
そのあとクラピカからメールでキルアが
無事ゴンと再会したことを聞かされたが
「良かったね」と他人事のようにしか思えなくて。
もう二度と会うこともないと思っていたのに。
何故あなたがこのヨークシンにいるの。
「いいの入ってんじゃん。これ、飲んでい?」
「いいわよ。それ飲んだら帰って」
「冷たいなー。同期の好じゃん。(俺は試験落ちたけど)
仲良くしようぜ。折角また会えたんだからさ」
そう。
再会したのは二日前。
市場で買い物をしている時だ。
ある店に人だかりが出来ていて
興味本位で近付いたのが迂闊だったの。
そこにいたのは、ゴン、レオリオ、そしてキルア。
どうやらレオリオが携帯の購入金額を
交渉していたみたいで、あまりの厚かましさ
に呆れて声が出てしまった。
それにいち早く気付いたのはゴン。
咄嗟に逃げようとしたけど、その先を阻まれた。
いつの間にか私の前に真剣な
眼差しでキルアが立っていたから。
「なんで宿の場所まで知ってるのよ」
「尾行したから」
「最悪」
気配断ちはあんたの得意技だもんね。
「なんで、連絡くれないの?」
「は?なんで、する必要が?」
「何度か着信入れただろ」
「あー、そうだっけ」
気付かなかったふりをする。
けど本当はしっかり気付いてた。
「正直、ショック…なんだけど。
試験終わってからも何度も電話したのに、音信不通だし」
「念の修行が忙しかったの。
あんたもそうだったんじゃないの?」
「なぁ、ちゃんと顔見てよ」
腕を掴まれ、キルアの方を向かされる。
まただ。
なんでそんなマジな目、してるのよ。
「あんた達と違って私は仕事で忙しいの。
なんならあんたも捕まえてやってもいいんだけど。
いい金になるわね」
そう吐き捨てて視線をそらす。
「殺しは、やめた」
「……はっ?」
「家を出たよ。もう暗殺を強要されるのはうんざりだったから」
「ふ、ふーん」
家を出たのは聞いてたけど、
こんなにも変わっているなんて意外過ぎる。
「ねぇ、覚えてる?試験中に俺が言ったこと」
「覚えてない」
「はえーよ。ハンター試験が終わったら…って話だよ」
「あー、なんか言ってたね」
『ハンター試験が終わったら、俺と付き合ってよ。
あんたのこと、好きだからさ』
一方的に言われたあの言葉。
返事を聞かないまま彼は去ってしまったけど、
それで良かったと安心していた。
ブラックリストハンターになった私にとって、
彼との再会はあまりに残酷で。
殺しを続ける残忍な彼なら今すぐにでも
捕らえてやるつもりだった。
でも捕らえたくなかった。
あの時、私もあんたに惹かれていたから。
もう出会いたくなかった。
でも今の彼なら、私は…
「返事は、まだ保留?」
「……」
言葉が詰まる。
なんて答えたらいいのか分からない。
私を真っ直ぐ見つめ、手を握る彼。
視線をそらせない。なんで。
「俺はあの頃と変わらずセーラが好きだ。
お前の前から急に消えたこと、
何度も後悔した。
だから今は逃げたくない。
…セーラの気持ちは?」
あの頃と違って、
もう彼の瞳の色はよどんでいない。
綺麗な澄んだ青だった。
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