未来へ
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「失礼致します」
ドアを開けると窓から外を
見詰めるキルア様がいた。
「昼食をお持ち致しました」
「そこに置いといて」
私はリビングの机に食事を置いた。
「ねぇ、セーラ」
「なんでしょうか、キルア様」
「やめろよ。二人きりの時は様とか付けんなよ」
私はゾルディック家の使用人。
そしてキルアの恋人。
これは私たち二人の秘密で、
この部屋でだけの関係。
「外の世界ってどんなの?」
「今思うとキルア様はまだお一人で
屋敷の外に出られたことがございませんね」
「だ、か、ら!そのきしょく悪ぃー話し方やめろって!」
そう言って私を抱き締める彼。
私たちの主従関係を絶たせたのは彼。
キルアの告白を受け、
私たちはこうやって愛情を確かめ合う。
私は幼い頃から彼の存在を守ってきた。
この愛情はいつから芽生えたのかも
分からないほど前からのもの。
「教えて。外ってどんな感じ?
何がある?どんな奴がいるの?」
「そうだなー。可能性に溢れた世界、かな」
いつか彼をこのゾルディック家
の呪縛から解放してあげたい。
使用人でいながら、近頃そんなことを考えてしまう。
「セーラと外の世界に出たい。
もしそれが現実になったら、セーラと
手を繋いだり、抱き合ったり、
普通の恋人でいられる」
私に抱き着いたままキルアは胸に顔を埋めた。
「私もそれが出来たらどれだけ幸せか」
「俺さ、もっと強くなるよ。
強くなって親父や兄貴たちがなにも
言えなくなるくらい力付けてさ。
その時はセーラも着いてきてくれよな」
「もちろん」
私は愛しい彼からのキスを受け止め、
いつか訪れる自由を待ち望む。
いつか、あなたと、外の世界へ。
あなたと、歩む、未来へ。
1/1ページ