おはよう
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【キルア。昨日はごめんね。】
そう1行だけ書かれたメールが届く。
なんのことかと思い出してみた。
そうだ。昨日は些細なことでセーラと
喧嘩して、テキトーに茶化す俺に
あいつがキレて、突然帰っちゃったんだ。
喧嘩の理由なんてたわいもないことで、
ただあいつの心に俺が寄り添えなかっただけ。
今まで友達もいなかった俺に急に彼女が出来て、
女心や相手の気持ちがなかなか掴めなくて困っていた。
どうも自分に素直になれない。
キルアは女心っていうものが分からない。
というか、相手の気持ちに鈍感というか、
少しドライで、私の感情をよく置いてけぼりにされる。
本当に私のこと好きなのかな?
さっき送ったメールも読んでくれてるかな?
チロンッ
返信が来た。
【なんのこと?】
昨日のことなんて、気にも止めてなかったみたい…。
せっかく今日は二人の記念日だったのに…。
仲良く二人で過ごしたかったな。
今日は一日部屋にいよう。
でもお腹空いたな。
もう朝か。
これぐらいの時間になったらいつもキルアから
「飯食いに行こう」って、電話がある。
でも今日はそれもなさそう。
会いたいな…。
感情が溢れ出した。
【会いたい】
送信ボタンを押そうとしたけどやっぱり
勇気が出なくて、メッセージを消去する。
愛情表現はいつも私から。
なんだか虚しくなってくる。
ベッドにケータイを投げ捨てた。
そして文章がそのまま声に出てしまう。
「…会いたいなぁ……」
「俺も」
あるはずもない返答が部屋に響いて、
部屋の入口のに目線を向けると
ドアに寄りかかるキルアがいた。
「…キルア」
「セーラがいないと静かで落ち着かない。
しかもつまんねー」
私の側に歩み寄った彼は私を
後ろから抱き寄せる。
「おはよ」
その言葉に私はなんだか救われたような気がして。
「ごめん」も「好き」もないけど、
やっぱり私はキルアが好き。
素直になれない俺だけど、セーラはこうやって
いつもの笑顔で迎え入れてくれるから、
俺のことを愛せるのはこいつしか
いないんだって、気付かされる。
『好きだよ』
言いたいけど…やっぱり言えない。
だから行動で示すよ。
セーラの手を引いて言ってやる。
「腹減った。なんか食いに行こうぜ」
進み出した二人の歩幅を合わせて、寄り添う。
「セーラと食う飯が一番美味いんだ」
この言葉が今の俺の精一杯。
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