また会おう
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「また会おうぜ」
「そうだな。次は…」
「「「「「9月1日、ヨークシンシティで!!」」」」」
そういう話で俺たちは空港に向かって歩いていたけど、
……ちょっと待ってよ。
やっぱり納得いかねー。
キルア「みんな、ごめん」
ゴン「?キルア。どうしたの?」
キルア「ちょっとこいつ借りるな。
先に空港向かってて」
俺の隣を歩いていたセーラの腕を掴む。
セーラ「えっ…、なに?」
キルア「いいから。ちょっとこっち来て」
セーラ「えっ!?ちょっと…っ!みんなー!泣」
レオリオ「…やっぱり、連れていかれたか」
クラピカ「大体の理由は予想できるが」
ゴン「?なになに?キルアたちどうしたの?ねえ?」
クラピカ、レオリオ「(鈍感なゴンは気付いていないだろうけど…)」
「痛いよ!離して…っ!!」
セーラの静止も押し切って、俺は歩き続ける。
あいつの泣きそうな声に心を押し殺し、足を止めた。
「お前さ」
「キルア…怖い…」
お前さ、気付いてないの?
なんで俺が怒ってるのか。
「なんで今後、俺らと来ない訳?」
「…ハンターライセンスも取れたことだし、
これから本格的に修行に励もうと思って」
「俺たちもこれからそのつもりだけど」
「二人がいると甘えが出ちゃって。
故郷にいる師と力を磨くわ」
「……半年以上俺に会えなくても?」
分かってる。
これは俺のエゴ。
俺の一方的な感情だって分かってても、
お前と離れたくないから。
気持ちもまだ伝えてないのに、
このままこの手を離したくなかった。
最終試験、兄貴に暗示をかけられ、
受験者を殺して会場をあとにする時、
ククルーマウンテンまで俺を迎えに来てくれた時、
俺と再会した時、
セーラは俺のために沢山泣いてくれた。
悲しさも嬉しさも、周りの奴らの視線なんて
お構いなしにさらけ出して、
俺のことを必死に考えてくれた。
本気で嬉しかったんだぜ?
その時気付いたんだ。
自分の気持ちに。
「寂しくないの?」
「それは…」
「ホントに気付いてないの?」
「え?」
俺はあいつの体を引き寄せ、腕の中に収めた。
ぎゅっと力を込め、心で念じた。
「好きだ」と。
お前みたいな女、他の男には渡したくない。
俺のものになってよ。
「キルア…」
「分かった?」
「ん。気付いてた…」
「…そうなんだ」
少し木っ端ずかしくなる。
「あの時キルアがいなくなって、私気付いたの。
キルアの存在が私の中で段々大きくなっていたことに。
あなたを失いたくないって」
「セーラ…」
嬉し過ぎてセーラの髪に顔を埋める。
思いが通じたことに、幸せすら感じる。
「…でもね、一緒にはいけない」
「っ。…なんで?」
「私はこれからハンターとして
生きていくために力がいる。
立派なブラックリストハンターになりたいから。
私は強くならなきゃいけない」
「……」
「キルアがいると、やっぱり、
私の弱い部分を見せちゃって…、
どうしてもすがりたくなっちゃうから。
だからね、次会う時には胸を張れるぐらい
強くなった私をキルアに見せたいの」
少し涙が滲む彼女の目には希望しか見えない。
「それに……」
「…?それに?」
「…いや、なんでもないっ」
「そこまで言ったんなら、言えよ」
「んーー……っ」
彼女は消え入りそうな声で言った。
「キルアとこの先ずっと一緒にいたいから」
なんだよ。
お前も俺と同じ気持ちだって、
自惚れていいの?
感情で動いた体。
唇があいつのに勢いよく重なって、
セーラもそれを素直に受け入れる。
離れ際に「スキ」という声が聞こえてきて、
なんだか胸がいっぱいになった。
俺たちは歩いた。
空港までの道のりを、ゆっくりと、
互いの存在を確かめ合いながら、
手を繋いで。
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