それでも、私は
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あなたが訪れるのは決まって夜中。
私が眠っていると、こっそりベッドに潜り込んでくる。
「あれ、起きてたの?」
「キルアを待ってたの…」
「寂しかった?」
「うん…」
腕を伸ばすとあなたは力強く抱き締めてくれる。
互いの名前を何度も呟いて口付けを交わすの。
「今夜はいつまでいてくれる?」
「セーラが眠るまで」
「忙しいのね」
「ごめんな。ずっといてやれなくて」
頬を撫でて、肌をすり寄せる。
寂しいよ。キルア。
もっと側にいてほしい。
「今日は何があったの?」
「今日はさー」
彼の何気ない話を笑いながら聞いて、
心地よい体温に包まれながら
私は安堵感を感じる。
瞼が重くなってきた。
それを見たキルアは微笑んで、
私の瞼にキスをした。
「疲れてるみたいだな。また来るよ」
「やだ…行かないで」
「ワガママ言うなよ」
「次はいつ会える?」
「そうだな…。セーラがいい子にしてたら」
「…分かった。待ってる」
「おやすみ、セーラ。愛してる」
「私も…愛して…」
霞んでいく彼の顔。
意識を手放して、夢の中に落ちていく。
朝日が私の目を覚まさせる。
一人で起きる朝は嫌い。
キルアはいない。
彼は旅に出てもう何年も帰ってこないから。
私に何も言わずに。
彼は行ってしまった。
悲しみに暮れたある日から
毎晩彼を夢に見るようになって、
夢の中の彼だけは私に愛をくれた。
現実で二度と会えなくても、
それでも、私は…。
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