イキルイミ
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床には赤い水溜まり。
手首には規則的に描かれた直線。
悲しいほどに深く刻まれたその跡は
彼女の闇が深いことを暗示させる。
「また切ったの?」
「キルア…」
彼女の部屋に入ると嫌でも感じる血の匂い。
俺を呆然と見つめる彼女の瞳に光はない。
俺は彼女の腕を取り、いつも通り止血をする。
「いつもより深くいったな、セーラ」
「なんだか…今朝は、気分が良くて…」
言動と行動が伴わない。
彼女はうっすらと笑みを浮かべる。
セーラはこうやって日常的に自傷行為を続ける。
過去に受けた痛みを忘れないように。
手首には治りきらないリスカの傷跡。
血を見ることで自分は生きていると実感できるから。
「やっぱり毎朝顔を見に来て正解だな」
そして俺に優しくされたいから。
彼女にとって俺が生きる意味なら、
俺は喜んでセーラに寄り添う。
彼女の頭を撫でてやり、思いっきり褒めてやる。
唇を重ねては、抱き締めて愛の言葉を口ずさむ。
「キルア…」
「なに?」
「私のこと好き?」
「好きだよ」
「キルア…」
「なんだ?」
「私…生きたい…」
「ああ」
セーラためなら俺は
「生きよう。俺と生きて?」
どんなことだって、してやろう。
それが、俺の、生きる意味。
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