in the game
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺はゴンとビスケの目を盗んである場所へ向かう。
俺は今、ゴンの親父が作ったGIっていう
ゲームの中にいる。
ゲームをこなす中で、ある場所を見つけた。
それは魔法都市マサドラにある小さな喫茶店だ。
扉を開けるといつもの古びたベルの音が鳴り、
中からコーヒー豆の香ばしい香りが鼻を刺激して、
なんとも落ち着く空間なのだ。
「いらっしゃい、キルア君」
カウンターからこちらに明るく声をかけるのは
この喫茶店の従業員のセーラ。
「今日も来てくれたんだっ」
「ビスケの修行を抜けてくるの大変だったよ。
買い出しっていうていで出てきた」
「修行中の身は辛いねww」
初めてここに来た時、セーラのことも
ゲームのキャラだと思い込んでた。
だけど会話を重ねるたびに人間味の溢れた
温かい対応が俺に彼女の正体を気付かせた
。
俺はここでビスケの愚痴や修行の話を
セーラにして、心を休める。
「順調にカードは集まってる?」
「ああ。やっと半分だよ。これからもっと
ランクの高いカード狙っていくつもり」
「そっか。キルア君ならあっという間だね」
少し寂しそうに笑うセーラの表情が気にかかる。
「セーラはさ、ここ(GI)から出たいと思わないの?」
セーラのコーヒーを注ぐ手が止まった。
深く考え込む様な表情だ。
「出たいとは一時期思ったよ。
今となってはプレイも全くしてないし。
リタイアした私が言うのもなんだけど、
私にはこの店が落ち着くんだ」
「あのじいさんの元で?」
カウンターの奥にはイビキをかきながら、
堂々と居眠りをするじいさんがいる。
「オーナーも素敵な人よ。昔は凄腕の念使いだったんだから。
私がここに来てからは体も弱って、
あんな風に寝てることが増えたけど」
「セーラはここに来てどれくらい?」
「2年かな」
「ふーん」
「キルア君が来なくなったら、寂しくなるね」
苦笑いしながらコーヒーを俺に手渡す。
「ん。今日のコーヒーはなんか、フルーティーな味がする」
「キルア君のために新しく仕入れたの。
美味しいでしょ?」
「ああ。すげー落ち着く味」
もうひと口飲むとセーラは嬉しそうな顔で
こちらを眺めていた。
「なに?」
「んーん。見てるだけ」
「なんだよ、それww」
「ww」
セーラ。俺の気持ち気付いてる?
俺はお前のこと、気になってるんだけど。
名前や歳ぐらいしか知らない彼女に
惹かれた理由は分からない。
ただ、セーラはなんだか温かくて、
ずっとここにいたいって思ってしまう。
「…もし、俺がここから一緒に出ようって言ったら
ついてきてくれる?」
「えっ…」
セーラは驚いたような顔でこちらを見つめる。
「なぁ、どうなの?」
「嬉しいけど…っえーっと…」
セーラのはにかむ姿に胸が締め付けられて、
この気持ちが本物だと気付かせる。
離れたくない。
そう思ったよ。
「俺はさ、お前と現実世界に戻りたい」
カウンターから乗り出して、セーラの顔の前に瞳を置いた。
「キルア君…っ」
「俺、マジだよ」
数センチの距離を詰めて、俺はあいつにキスをした。
セーラはビクっと肩を震わせてたけど、
途中から俺を受け入れるように、唇を寄せてきた。
コーヒーの香りと、静かな空気、
セーラの唇の感触が俺に至福の時を与える。
名残惜しい唇を離すと、うっとりとした
あいつの顔にまた欲情してしまう。
俺たちは求め合うように二度目の口付けをした。
オーナーが後ろにいるにも関わらず、
客のいない店内に息遣いだけが響いて、
俺のセーラの頭に添えるその手が
力強くなっていく。
唇を離すと俺たちは息が上がっていて、
なんだかいやらしい感じがした。
「自分の気持ちに素直になれよ」
「……」
顔を赤くして俯く顔を上げさせて、
「迎えに来るから。その時は俺と来て」
そう言って、俺は店を後にした。
1/1ページ