by train
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急に左肩に心地の良い重み。
そっと隣に目をやると愛しの彼女が俺の肩にもたれ、寝息を立てていた。
きっとこの列車の揺れが心地よくて眠ってしまったのだろう。
あーぁ…。向かい側の席に座っていたゴンもよだれを垂らして夢の中。
これはしばらく目を覚ましそうにない。
再び彼女の方へ視線を移す。
「セーラ〜」
そっと顔を覗き込んだ。
調子に乗って前髪をずらして、普段まじまじとは見れない可愛いお顔を拝見したりして。
起きないなー、これは。
相変わらずこいつの髪からはすっげーいい匂いがする。
こーゆーのが男心には何気にきつい。
鼻をかすめる度、胸がザワる。
微かに聞こえる寝息が、触れる肩が、俺の体を、刺激する。
俺が過剰に彼女を意識しているせいなのだけど。
「そんな無防備に寝てっと何されても文句言えないぜー?」
また小声で話しかけてみた。
内心「起きるなよ」と思っている俺。
この席は丁度他の乗客から死角になって、
俺たちを隠してくれた。
「隙だらけのお前が悪い」
チュッ…
列車の音にかき消され、俺の悪戯はさっと消え去ってしまった。
もう一度したいなー。
でもセーラが起きちゃかわいそうだから諦めてやろう。
「好きだぜ、セーラ」
車窓から心地良い風が吹く。
思わず俺もあいつの方に体を預けて、そっと瞳を閉じた。
このままずっと駅に着かなければ良いのに。
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