アナタの香り
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「ここが俺の部屋だよ…」
案内された場所は日当たりもよく、
白を基調とした部屋だった。
物は少なく、1人にしては大きすぎるベッドと
大画面の液晶テレビが存在感を出していた。
部屋に入った瞬間思った。
この部屋はキルアの匂いで溢れてる。
爽やかでどこか懐かしい、落ち着く匂い。
「親は今いないけど、多分弟どもがいるから。
部屋に近付かないように言いつけてくる」
「待ってて?」と、キルアは部屋を出ていった。
手持ち無沙汰の私は徐にキルアの部屋を漂った。
性格が滲み出る洋服の畳み方。
仲の良さそうな家族との写真。
その隣には、私がこの前誕生日にプレゼントした
帽子が大切に飾られていた。
「…あ」
ベッドに脚が当たって、そっとそちらに視線を向ける。
うずうず…。
そんな仕草を私はしていたと思う。
「少しだけ」なんて思いながら、
私はふわふわに整えられたキルアのベッドに座った。
ここがキルアのベッド…。
ここでキルアが毎日寝て……いやいや。
私、何考えてるの!
こんなとこ見られたら変に思われちゃう…!
立ち上がろうとするけど、本能は逆。
惹き込まれるように私の体はベッドに倒れ、
心の中で「もう少しだけだから」と言い訳をした。
ああ…ここからだ。
この部屋の匂いはこのシーツから漂っている。
爽やかでどこか懐かしい、私の大好きなキルアの匂い。
包まれているとまるで…本当にキルアに抱き締められてるみたい…。
気持ちいいなぁ…落ち…着く……。
「セーラ。なにしてんの?」
「ん…っ」
キルアの声が聞こえた気がする。
私は重い瞼をこすっていた。
あ…っ!
私、あんまりにも気持ち良すぎて寝ちゃったんだ!
「ごめんなさい!勝手にベッドに寝て!」
「いいけど。そんなに疲れてたのか?
テスト勉強どうする?別の日にしようか?」
そう言って私の隣に座り、目にかかった前髪を指で避けてくれた。
「ううん。いいよ。やろう」
そう言って私が身を起こそうとした時だった。
キルアが私の肩に手を掛けて、そのままシーツへ押し倒した。
「キルア…っ?」
「ごめん…。なんか…まだ、こうしてたい」
キルアの顔が私の耳元まで落ちてきて、
体温を強く感じた。
な、なんでこんなことに…っ。
今までキルアとこんなこと…したことがないっ。
胸が、心臓がドクドク跳ねて、どうにかなってしまいそう。
「お前がこのベッドで寝てるの見てたら…なんか…ドキドキした…。
俺の部屋にセーラが居るなんて…なんか、変な感じだけど…嬉しい」
耳元で響くキルアの低い声。
脳を刺激して、体がまた熱くなった。
「あのね…この部屋、すごくいい匂いで。
とくにこのシーツからキルアの匂いが
するから思わず寝そべっちゃって…。ごめんね?」
「いいよ。俺の匂い?」
「うん。私の、大好きな匂い」
どれだけ高価な香水やアロマとも違う。
彼の肌から放たれる落ち着く匂いは、
私の鼻を、心を癒して。離れない。
それを聞いたキルアは「自分では自覚ないんだけどさ」と
照れ隠しのように笑った。
「…じゃあもっと匂えよ」
「えっ…」
キルアはさらに私の近くへ。
私の体に覆い被さった。
「もっと匂って。感じて?俺の匂い」
『俺のことしか考えられないくらい』。
その言葉で脳がジリジリ痺れる。
耳の淵を唇で甘噛みされ、両手を頭上で束ねられる。
恥ずかしい…こんな格好…。
「キルアァ…」
「なに、そのエッチな顔。誘ってる?」
意地悪っぽい笑みで彼は私に唇を寄せる。
「キス、しよっか」
「ぇえっ!!?」
「この前出来るようになっただろ?
もう1回やってみろよ」
「……っ///」
恥ずかしい。熱い。
そして、胸が爆発しそうで…苦しい。
でも、キルアの私を求める顔を見ると
自然に手が彼の首元に回った。
そして顔を少しずつ近付けていく。
「すっげ…。俺の心臓の音…うるせー…。
セーラにやばいくらいドキドキしてる。
……ごめん。続けて?」
心を決めて私は唇を唇へ。
吐息を感じ、もう少し。
あと5cm。
ああ、キルア。
大好きだよ。
その時だった。
バンッ
「ああっ!キルア兄ちゃん女の子に乱暴してる!」
「!?」
突然部屋のドアが開いて、大きな声が響いた。
キルア「アルカ!!お前、部屋には来んなって!」
アルカ「キルア兄ちゃんが女の子泣かしてるよー!
ねー!カルトちゃーん!」
キルア「ああ”ー!!カルトまで呼ぶなぁあ!!」
飛び込んできたこの子はキルアの弟らしい。
見た目は女の子なんだけど……弟?
2人のやり取りにあっけに取られていると
ドアからそっと覗き込むおかっぱ頭の子の存在に気付いた。
私を凝視し、睨み付けている。
アルカ「ねー、お兄ちゃーん。さっきはなにしてたのー?」
キルア「あ…いや、あれは…さ」
アルカ「もしかして、めいくらぶってやつー?」
キルア「バ…っ!ちげーよ!てか、どこで覚えた!そんな言葉!」
キルアは焦りながらアルカちゃんをなだめていた。
そしてカルトちゃんがつかつかと部屋に入ってきて。
「そういうことはホテルでやって」と言い放った。
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