ひとりごと
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「セーラー。あれ?寝てんの?」
キルアが私の部屋に入ってくるのが分かったから
私はすぐさまベッドへ潜り込んだ。
キルアは「ちぇっ…つまんねー」
なんて言いながらベッドサイドに座った。
いつも私がそっちの部屋に遊びに行っても
ゲームばっかりして相手してくれない罰よ。
幼馴染だからって雑に扱って!
ゴンにはいつも優しいくせに!
そんな私の思惑をよそにため息をついた
キルアは脱ぎ散らかした私の服を見つけたのか
笑い声を漏らしながら独り言を言う。
「ホントセーラってこういうとこだらしないよな。
男勝りでガサツでおまけに声でけーし。
マジ男みてー」
「(ムカッ)」
聞いてないと思って好き勝手言いやがって…っ。
起きて引っ叩いてやろうか。
「でも…なんで見ちゃうんだろ、お前のこと」
なんのことを言ってるか私には検討もつかなかった。
ただキルアの声がもろく儚げで、
今にも泣きそうな声だったから、
私の拳の力が緩んだ。
「俺、すっげー覚悟決めて来たんだぜ?
なのにセーラ寝てんだもん。決心も鈍る」
「(?)」
「お前と出会って10年。
ガキの頃からずっと一緒で、今更素直になんかなれなくて。
セーラに冷たくしちまう時もあるけど。
悪いと思ってるんだ。
照れちゃうんだよね。お前といると」
え……なに?
なんなの、この展開。
「ドキドキするってゆーか…落ち着かないってゆーか…。
お前のこと女として見てる俺に気付かれたくなかったし、
もし気持ちを伝えてセーラが離れていったらなんて考えると…怖くてさ」
…夢でも見てるのだろうか。
ホントに私は寝てるのかもしれないなんて思った。
こんなことある訳がない。
あのぶっきらぼうなキルアが、こんなこと…。
体に圧がかかる。
私にはその正体がすぐ分かった。
キルアが私の肩に手をかけたのだ。
閉じた瞼を更にぎゅっとつむり、体が固くなる。
鼻先にキルアの匂いを感じ、少し反応した。
「早く俺のものになんねーかな…」
頬に温もりを感じる。
まだ触れていもいないのに分かってしまう。
これは彼の唇。
放たれる吐息が肌を掠めてこそばゆい。
キルアのセクシーな声で耳が焼けそうだ。
「今だけ…許して」
頬に当たる温かい感触に思わず瞼が開く。
目を閉じ、こちらに気が付かないキルア。
整った顔立ち、綺麗な銀髪、長いまつ毛が
目の前にあって、思わず見惚れてしまった。
そっと目を開けた彼と私の目が合う。
「……(こっち見たっ!)」
「……」
数秒間沈黙が続いた後、一瞬でキルアの顔が
りんごのように赤くなり、私から離れていった。
「ババババッ…バッキャロぉおーっっ!!!
なんつータイミングで目ぇ覚ますんだよ!!」
「…覚まさない方が良かった?」
「まさか…俺の独り言…聞いてたのか!?」
彼には私の嘘がすぐバレる。
だから私は包み隠さず答えた。
「うん…。キルアが部屋に入ってきた時からずっと起きてた」
「…っ!……くっそーー~~……」
キルアは私から逃れるようにシーツで顔を隠した。
「せこいよ…寝たふりなんか。
こんなかっこわりー姿見やがって…」
「…でも…いつかは私に伝えるつもりだったんだよね」
シーツ越しにキルアに声をかけるとチラッと
こちらに顔を出した彼が言った。
「……そうだよ。ずっと、お前を好きだったから…
告白するタイミングをずっと探してた」
「ありがとね、キルア」
なんだかキルアが子猫のようで、可愛く思えた私は
ふわふわの髪を優しく撫でた。
「………なんだよっ///」
少し照れくさ交じりの声でこちらを睨むキルア。
「やめろ」と言いながら逃げない彼に少し心をくすぐられた。
突然過ぎてまだ自分の気持ちを整理出来てはいないけど。
彼を力一杯抱き締めたくなるような
この気持ち、この胸の高鳴りは
きっと愛情、だと。
そう思った。
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