邪念との格闘
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マジか。
まさかこんな展開になろうとは。
壁の向こう側から聞こえるシャワーの音が
俺に現実を突きつける。
シャワーを浴びているのは俺の彼女のセーラ。
デートにあまりにも夢中で、時間を忘れていた俺たち。
うっかり彼女が終電を逃してしまった。
そして自然に近くに住む俺の部屋に流れてきた訳なんだけど…
やばいやばいやばい…。
今晩、もちこたえられるのか俺。
我慢できるのか、おい…。
俺も男だ。
好きな女と一晩一緒となれば理性が…もたない。
セーラは俺が初めての彼氏で、男性経験もほとんどない。
だから大事にしてやりたい…けど、さぁ…。
これって、超、酷じゃねー?
一応コンドームをしまった場所を確認する。
使うか分かんねーけど、一応…さ。
あー、汗かいてきた。
いつもクールでカッコイイ俺が、みっともねー…。
「キルアー!」
「(ビクッ)」
脱衣所から聞こえるセーラの声に肩が揺れる。
「この用意してくれたシャツ、借りていいのー?」
「ああ。ちょっとデカいかもしんねーけど、着ろよ」
「ありがとー」
ビビった。
見られたのかと思った。
しばらくして彼女の存在を背後に感じ、振り向く。
「やっぱり少し大きいねー」
「(エ、エロい…っ)」
俺のお古の白のワイシャツ。
俗に言う「彼シャツ」というもの。
絶妙な着丈、サイズ感が華奢なセーラの
体のラインをより引き立てた。
広範囲に晒された太もも。
胸元は暑いのか大胆に開かれ、袖は捲りあげていた。
「(こいつ…自分がエロいって分かってんのか…っ?)」
「お風呂いただきましたっ!あーっ、気持ち良かったー♡」
濡れた髪から漂うシャンプーの香り。
俺と同じ香りがする。
あー…ムラムラする。
「今夜はお前がベッド使えよ。俺は床でいいからさ」
「えっ…なんで?」
「なんでって…」
そんなの俺が我慢できなくなるからに決まって…。
「一緒、寝よ?」
「……っ///」
こいつ煽ってる自覚ねーのかー!!
このド天然!!!
「いいって。ベッド狭いし」
「詰めれば二人寝られるよ。ほら」
「やだ。肩こるし」
「私と…寝るの、嫌?」
あいつは泣きそうな顔で抱きついてきた。
あぁ~…仕方ねー…。
根性見せるか。
そして俺はセーラと同じ布団に入った。
「寒くねー?」
「大丈夫だよ。キルアは?」
「俺も、平気」
俺は逆に暑いんだ。
体が興奮で熱くなる。
行き場の分からない両手に滲む汗。
足までかいてきて、それを知らたくなくて彼女から少し離れた。
「うわ…っ」
「キルア、あったかーい…」
俺の足にセーラの足が絡みつく。
突然のボディタッチに思わず体が跳ねる。
「キルアって体温高いんだね。
私冷え性だから、キルアの体が気持ち良くて」
「ホントだな…すっげー冷てー」
指先までひんやりとした彼女の足にそっと
寄り添い、熱をあいつに分けてやる。
それが心地いいのかセーラはうっとりとした表情になる。
「このまま…寝ちゃいそう…」
「ああ。寝ろよ(てゆーか、寝てくれ…)」
「おやすみのチュー…って…しないのかな…?」
か、可愛い過ぎる…っ!
濡れた瞳でそんな殺し文句を言うな…っ。
「分かったから…っ。してやるから…っ」
「ん…」
可愛く突き出した唇にキスを落とすと、
安心したかのようにセーラは夢の中へ落ちていった。
これでもう一安心だ。
そう思っていた。
お…っ、おぉ…!?
抱きついてきた…っ。
あいつから無意識に伸びてきた腕が俺を抱き寄せ放さない。
俺の顔面はセーラの胸元へ。
離れようとすればするほど彼女の力は強くなっていく。
煽んな~~~………俺を解放しろ~~……っ。
これ以上されちゃ…俺も…。
「キルアァ…好き…」
寝言まで可愛いし…クソ。
「こんな安心しきった顔見せられちゃ…襲うに襲えねーじゃんかよ…」
眠気なんて一向に来ない。
邪念との戦いは続けられ。
スヤスヤと眠るセーラが恨めしくなるほど、
俺の神経はすり減らされていく。
なんて残酷な女なんだ…。
でも好きだから…今夜は我慢するよ。
次は覚悟しとけよ。
外は強い木枯らしが吹く。
きっと今夜は長い夜になりそうだ。
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