悲しみの香り
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「キルアァ…」
俺は駅までセーラを迎えに来た。
姿を見せた本人は足取りもおぼつかなく、
俺を見るなり懐に倒れ込んできた。
大分飲んでいたようで、一緒に飲んでいた
セーラのダチも申し訳なさそうに俺に彼女を託した。
体温が異常に熱い。
息遣いも荒い。
相当酒を飲んだのか。
吐息からはほのかにアルコールの香り。
俺の腕にくっついて離れようとしない。
その方が俺も安心なのだけど。
「キルア…私のこと、スキ?」
そう俺に問いかける。
いつものセーラならそんなこと聞かないはずなのに。
何故か俺に問いかける。
「好きだよ?」
「どれぐらい?」
「んー、すっげー好き」
あいつの膝が折れそうだ。
怖いから俺はあいつをお姫様だっこする。
そうすると彼女は嬉しそうに笑った。
「なんか不安に思ってることでもあるの?」
「…なんでー?」
「お前がこんなに酔うことないし」
俺の肩を強く握る手。
きっとなにか不安に思ってる。
そう思った。
「好き過ぎて…不安になったの」
「え?」
「キルアはまだ若いから…私よりもっといい人がいるんじゃないかって…。
私、もうアラサーだし。
キルアはもっと若くてピチピチした子の方がいいんじゃないかって」
「ピチピチねー…」
なんだ。
そんなことか。
「不安になんかなるなよ」
「へ…?」
「俺はお前しか見てねーから」
あいつの頬にキスをする。
「セーラしか見てねーから。心配すんなよ」
「キルア…」
「だから、ゆっくりおやすみ」
そう言うとセーラは安心したようにそっと目を閉じて、俺に体を預けた。
そっと吹く北風。
吐息からはほのかにアルコールの香り。
そしてセーラから漂う愛情が俺を少し悲しくさせた。
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