EGOIST
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ピロンッ
俺のPCにメールが入った。
セーラからだ。
しかも画像付き。
「……楽しそー」
添付画像には笑顔のセーラとゴンが並んで写っていた。
俺は今、妹のアルカと二人で旅をしている。
本当はセーラやゴンと離れるのは辛かった。
だけど俺は二人よりアルカとの時間を選んだ。
別れ際に見せたセーラの悲しげな表情は、
今でも脳裏に焼き付いている。
今も悲しんでいるのかな、なんて思っていたけど少し安心した。
ゴンと一緒だし、くじら島ならまず安全だ。
そう割り切ろうとした。
でもこの写真を見ると、やっぱり俺の
どこかに隠れた独占欲と愛しさがズクズク疼く。
プルルルルッ
俺はセーラに電話をかけた。
スリーコールであいつは電話に出た。
『キルア!!写真見てくれた!?』
「楽しそーじゃん」
声を聞けて嬉しいはずなのに、
ゴンに対する嫉妬心が俺を少し意地悪にする。
「仲良いよな。ゴンとこんなにくっついてさ」
『……どうしたの?』
「気分わりーって言ってんの」
ああ…
こんなこと言うために電話したんじゃない。
もっと伝えたいことがあるのに。
「…見たくなかった」
『……ごめんっ…』
あいつの悲しげな声。
別れた時と記憶が重なる。
「……ごめん。切る」
『キルア!!』
終話ボタンを押そうとする指に力が入らない。
セーラの側にいることよりアルカと
過ごす時間を優先したのは他の誰でもなく俺自身。
そしてそのエゴをあいつに押し付けたのも俺だ。
なのに、今になってこんなにも後悔してる。
なんて自分勝手な生き物なんだろう。
「ごめん…。寂しくなった」
『私もよ。寂しくて…不安で…。
キルアの気持ちを確かめたくて、あの写真を送った』
「…ははっ。効果テキメンだよ」
愛しい。
好きだ。
セーラを力いっぱい抱き締めて、
キスを愛情を、あいつに、ぶつけたくなった。
「遠いよなぁ…」
俺は手を伸ばし、何もない空気をつかむ。
セーラを抱き締める感触を思い出しながら。
「会いたいよ…セーラ」
『私も。キルアに会いたい』
受話器越しでも分かる。
あいつの涙が。
俺に心配をかけないように、涙声を我慢している。
泣かないで。
「次会えたらさ、覚悟しとけよな」
『えっ?』
「足腰立たなくしてやる」
『なんの話してるのよー!もうっww』
お前は笑ってる方が可愛いよ。
「じゃあな。また連絡する」
『ん。アルカちゃんにもよろしくね』
「おやすみ」
ピッ
「好きだよ、セーラ」
行き場のないこの想い。
いつか、お前に。
1/1ページ