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不意にあの時触れたお前の指先。
手先に残る柔らかい感触がいつまで
経っても忘れられなくて、
俺はまたあいつの隣を歩く。
ゴンとセーラと俺の3人で旅を始めてしばらく経つ。
ハンター試験で出会った俺たちは
偶然にも年齢が同じで、すぐ意気投合した。
能天気なゴン、マイペースでおっとりとしたセーラ。
こんな二人には俺がいなくちゃ駄目な気がして。
こいつらに振り回されっぱなしの毎日が少し楽しかったりする。
今日も三人で新しい街へ向かう。
ゴン「キルアー!セーラー!
早くー!置いてっちゃうよー!!」
キルア「待てよ!ゴン!
ったく…あいつ道分かってんのかな」
セーラ「楽しみで仕方ないんじゃない?
そういう性格だし」
セーラはそう言って笑っていた。
彼女のこういう何気ない笑顔が好きだ。
綺麗で、そしてどこか切なげなその笑顔が俺を夢中にさせる。
旅を続ける程にセーラのことが気になってゆく。
きっと、これは、好きってことなんだと思う。
でもあいつは鈍感だからまるでこちらの気持ちに全く気付いてなくて、
俺ばかりがドキドキ胸を高鳴らせてばかり。
それが悔しい。
不意に俺の手があいつの手に触れた。
お互いの手がピクッと反応する。
セーラは少し照れたように「ごめん」と手を引いた。
ホントは、もっと触れたいよ。
手を引いて、抱き寄せて、もっと、お前に触れたい。
セーラは俺のこと、どう思ってる?
ドキドキしてよ、俺に。
勇気を振り絞ってもう一度手をあいつのそれに触れる。
逃げようとするセーラの手を引き、指を絡めた。
顔は見れない。
きっと今の俺の顔、すげーかっこ悪ぃーから。
「キルア…?」
「…///」
恥ずくて顔を伏せた。
耳まで熱くて、指先にも汗を感じる。
それでも俺は放せなかった。
お前が、セーラが、好きだから…。
「キルア…ありがとう」
そう言ってあいつは手を握り返してきた。
体全体が脈打って頭の中がぐちゃぐちゃになる。
予想外の展開。
セーラが、俺の手を、握ってる。
「私もずっと…こうしたかったから」
「(マジで…?)」
手の先に伝わる体温は温かくて、優しくて、
ずっと握っていたくなるほど。
彼女も俺と同じ気持ちなのだと感じながら、
前を向いたまま歩き続けた。
ゴン、ごめんな。
そのまましばらく振り向かないで。
もう少しセーラと、こうしていたいから…。
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