昨日の騒乱はどうやら『女王の汀』が盗まれたとということのようだった。

ロビンは配達で隣の街まで出ていた。
隣の街はその話で持ちきりだった。

配達を逢え、帰路に着く。
昨日の4人は、あの赤い男はなんだったんだろう…
いずれにしても、自分には関係がない。
でも、「お姫様」という言葉が引っかかる。
忘れよう。自分には関係がないことだ。

やがて、自分の街が見えてきた。
しかし、様子がおかしい。

街から黒い煙が上がっている。

思わず走り出していた。そんな、まさか…うちに限って…。

ロビン は呆然とするしかなかった。
街は焼かれ、銃弾の跡が壁中に残っていた。

自分の家は…？パパとママは…？
嫌な予感がよぎる。

案の定、自分の家も無惨に焼かれていた。
家の中に急いで入る。

「パパ…！ママ…！」

そこには、父と母が倒れていた。助からなかった。
おびただしい血がまだ乾かずに流れている。

「…まだいたか…。」
入り口に男が立っている。逆光で顔が見えないが、拳銃を持っていることは確かだった。

殺される…足が動かない。
男が近づいてくる。
ロビン は父が握っていたライフルを取り、構えた。

「撃てるのかな？『お姫様』？」

銃口がロビン の頭にぴったりとつけられた。

ガァン！！！

撃たれたと思ったロビン だったが、倒れたのは男の方だった。肩を撃たれている。

入口に女が立っていた。この人が撃ったの…？

「ごめんなさいね。この『お姫様』に用があるの。」

女がこちらを見て、フッと微笑む。
「大丈夫？怪我はない？辛いと思うけど、今はここから逃げるわよ。」
「あ…え…？」茫然自失になっているロビン の手を取り女は走り出す。
「あなたは誰…？」

「私？私の名前は峰不二子。」

外に出ると通りの向こうから黄色の車が走ってきた。
「ルパン！逃げるわよ！」

ロビン が乗せられた車は土煙を上げて急発進した。

運転をするのは、あの赤いジャケットの男だった。