煌閃がロビンに「なにかすげーやつ」の提案をしてからしばらく経ったある日。

毎日毎日、修行の日々。
五ヱ門の修行は常軌を逸したものばかり。
「最強」の名をもつ男について行くのは楽なことではない。
それでも目の前の男の背中に近づきたい一心で必死に鍛錬した。
何より、五ヱ門のことが大好きだ。ずっと一緒にいたい。
そのためには、弱い自分でいるわけにはいかなかった。

次元も時々修行（という名の体力勝負？）に付き合ってくれた。
ロビンは次元を怖がっているが、この男が強さと優しさを兼ね備えていることは明らかだった。

ロビンはというと、なにやらルパンと「なんかすげーやつ」を作っているようだった。
「大丈夫、あいつならできるさ。」
ルパンはいつもそう言った。
不二子もいつもついているし、きっと大丈夫だろう。（煌閃は不二子が少し苦手だった）

『女王の汀』も追っていかなくてはならない。
といっても、今は行方知れずになっているということをルパンが説明したその時、周りの空気が変わるのを誰もが感じた。

「あいつらだ…」とルパンが苦々しくつぶやくと、間髪入れずに弾丸の雨が降り注いだ。
煌閃は五ヱ門とソファの後ろに隠れ、突破口を開くまでの機会を伺った。

扉が蹴り開けられ、ルパンが「ユリアン」と呼ばれた男と話している
ロビンの真っ青な顔が見えた。
煌閃は気付かれないように敵の顔をのぞいた。
ルパンと話していた男の顔を見た瞬間、煌閃は声を上げそうになった。

間違いない。龍閃だ。
数年前、煌閃が慕っていた兄弟子を殺し、教えに背いたことで破門された男…。
五ヱ門もこちらを見て静かに頷いた。

ルパンのワルサーが轟いた。
それと同時に次元と五ヱ門が飛び出し、敵を蹴散らす。
「おのれ！龍閃！！」五ヱ門が叫び、龍閃に対峙する。
「そんなやつは大昔に死んだ！！おや…？どっかで見た顔だと思えば、寺のハナタレ小僧じゃねーか…。なるほど、お姫様とは瓜二つ…お前が王子様だったとはなぁ…！！敵討ちでもするか？」
煌閃はギリギリと奥歯を噛み締め、槍を構えた。
煌閃が踏み出すより早く、五ヱ門の一閃が閃く。
龍閃、またの名をユリアンの銃が真っ二つに割れる。
ユリアンはもう一丁の銃を出し、乱射した。

煌閃にも敵が次から次へと襲いかかった。
が、巧みに槍を使い一人ひとり仕留めていく。
実戦は初めてだったが、最強の男との修行の日々がその怖さを打ち消してくれた。

ロビンが視界に入る。
「ロビン！危ない！！」ロビンが叫び、駆け寄ろうとした瞬間、ロビンの腕から何かが飛び出した。敵は吹っ飛び、地面に倒れた。
次の敵には腕の動きに合わせて飛び出す鞭。電撃のオマケ付きだ。
ロビンに視線を送った。二人は頷き合い、微笑みあった。
ロビンは大丈夫だ。

「そろそろずらかるぜ！！」ルパンが煙玉を投げると、辺りは煙に包まれた。
煌閃は、ルパン、次元、五ヱ門と、ロビンは不二子と逃走した。

「お前の正体がバレちまった以上…」ルパンがそう言いかけた時、「寺が危ない…！」五ヱ門が今までに見たことのない苦しそうな表情で言った。