ロビンは、煌閃と話してからというもの、物作りに没頭していた。
自分の身は自分で守りたい。そしてもっと強くなりたい。

「ロビン、進み具合はどう？」不二子がカップを両手に持って背後から声をかける。
「もうちょっと…」
「あんまり無理しちゃダメよ？それから夜更かしも。夜更かしはいい女の敵よ。」
「うん…。」
「コーヒー、置いておくわね。」
「ありがと。」

「どぉ〜したの？不二子ちゃん。そんな怖い顔しちゃって。」部屋を出るのを狙っていたかのようにルパンが話しかける。
「あら、お言葉ね。ルパン。」
「ロビンか？」
「そうよ。確かに、あの子はこの短い間にできることが多くなったわ。でもね、こんな無理し続けたら…」
「なぁーに、あいつなら大丈夫さ。お前が思ってるより、よっぽどタフだぜ。ロビンは。」

不二子は、黙ってアジトから出ていった。
あのとき、私が裏切らなかったら…、そんな思いがよぎっていた。

しばらくして、ルパンはロビンの作業部屋を覗いた。机に伏せ、眠っている。
ルパンはジャケットを脱ぎ、ロビンにかける。
ふと、手に握られていたモノを見て、ルパンは思わずニヤリとした。
「…やるじゃねぇか… ！」

次の日、アジトでは『女王の汀』を奪うための作戦を練っていた。
お宝は今は行方知れずになっていることだった。

一瞬、アジトの空気が張り詰める。
その場にいた誰もが異様な気配を感じ取った。

『あいつらだ…！』
ルパンが苦々しげにつぶやいた瞬間、銃弾が降り注ぐ。

銃声が止み、扉が蹴り開けられる。
『やったか？そんなはずはないよなぁ？ルパン三世？』
　あの日聞いた声。鼓動が早くなる。叫び声を上げそうになるが、不二子がグッとロビンの手を握る。

「『女王の汀』はどこだ。ルパン。」
「おあいにく様だな。俺たちも知らねーんだよ。もちろん、ここにもねぇ。…久しぶりじゃねぇか、ユリアン。」
ルパンが悠々と姿を現わす。
「ここにお姫様と王子様がいるはずだが？」
「さぁ、どうだかなぁ…いたとしても、おめーだけには渡さねぇ！！」
ワルサーが火を吹くと同時に、6人が飛びだす。

マグナムが吠え、斬鉄剣が閃く。
瞬く間に突破口が開かれた。

外にはおびただしい敵の量。
煌閃も槍で五ヱ門と次々に敵を薙ぎ倒していた。
不二子も応戦し、ロビンを守ろうとするが、敵の一人がロビンに襲いかかった。そのとき…

ドンッ！

音とともに敵は後方に吹っ飛んでいた。
ロビンの伸ばした手の先から何かが飛び出した。
「弾丸…⁉︎」不二子が目を見張る。
服の中に何か仕込んであるようだ。
次の敵がロビンの腕を掴むが、今度はその腕に鞭が巻きつく。
「はぁっ！！」足を踏み鳴らすと、敵に電撃をお見舞いした。
「…やるじゃない…！」背中合わせになり、不二子が笑う。

「やはりいたか、お姫様。」ユリアンがロビンに銃口を向ける。
「 伏せて！！」不二子が叫ぶと同時に銃声が轟いた。

が、ユリアンの放った弾丸は反れて、地面にめり込んだ。

ロビンの目の前には、次元。
ユリアンの銃弾に自分の銃弾を当てて軌道を逸らしていたのだ。
ユリアンに正対し、マグナムを構える。
「大丈夫か？お姫様。」
「大丈夫…」
「そうかい。上出来だ。」のロビン頭にそっと手を乗せ、ニヤリと笑う。

「おい！ずらかるぜ！」
ルパンがそう叫び、敵に何かを投げるとあたりは煙に包まれた。

煙が収まるころにはルパン達の姿は消えていた。