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古城にて

(第4話は少女side、少年side同じお話になります。)

城の中はがらんとしていて何もない。
ただ、ひんやりとした石の感覚と足音の響く音だけを感じた。
角を曲がり、がらんとした部屋に出た。

「よぉ次元、遅かったじゃねぇか。」
部屋の奥から声がした。
「レディを二人も待たせるんじゃねぇよ。」
やがて、その声の主が姿を現す。
赤いジャケット、細身の体、そして、全てを見通してしまうような鋭い瞳…

「悪かったな、ルパン。これでも急いだんだ。」次元が煙草に火をつけた。
「そいつが煌閃か…どおりで、似てるわけだぜ。」
ルパンが視線を男達に移す。
二人は大人、一人は少年。歳は自分と同じくらいか…が、その少年の顔を見て驚いた。自分と似ている。

「じゃ、全員揃ったところで、自己紹介といこーぜ。俺はルパン。ルパン三世、泥棒さ。」
「次元大介。」
「十三代目、石川五ヱ門」
「峰不二子。」

「こちらのお嬢さんは、ロビン。」ルパンが少女の名を呼ぶ。
「お前の名前はなんつーんだ?」
「煌閃… 」渋々名乗った。

ロビンはルパンと不二子のそばを離れない。怯えたような様子だった。
「ロビン、安心していいぜ。次元も五ヱ門も俺のつよーい仲間だ。」

「ここ、どこなんだよ。」煌閃が聞く。
「まぁ、まーちなさいって。…不二子、ロビンを頼む。」
ルパンは卓に大きな紙を広げると話し始めた。

「ここは、メルテア王国の王族の古い城。メルテア王国は…そこにいるロビンの故郷だ。」
故郷の名を聞き、ロビンが目を見開く。
「メルテアといやぁ、ここのさらに西、なんでこんなところに城があるんだ?」次元が聞く。

「逆だ。もともとのメルテアはここなんだよ。100年ほど前、メルテア王族はこの場所を追われ、今の場所に国を建てた。この辺りの地質はちょっと特殊でな、この辺りの洞窟で時間をかけてできるのが、メルテア石っていう代物なんだ。そこを狙われたってわけ。ロビン、『女王の汀』って知ってるか?」

ロビンは小さく頷いた。

「私たちはそれを盗もうと思って今のメルテアに忍び込んだってわけ。」不二子が腕を組み、話を続ける。
「でも、その石はメルテア王族以外のものが触れることはできなかった。私たちは国王を騙して運び出そうとしたんだけど…失敗した…。」
不二子は目を伏せた。

「そこに目ぇつけたのが 『シャングリラ』の奴らだった。俺たちが失敗したところを狙って、城を爆破しやがったのさ。『女王の汀』はその時に失われ、アイツらは国中を探し回った…それで…。」
「それで…パパとママは死んだ…。」ロビンの空虚な声が部屋に小さく響いた。

「…。」

「…でも、なんでだよ。なんで、俺とロビンがここに連れてこられたんだ?」沈黙を破るようにして煌閃が聞いた。

「あぁ、悪いな。話が長くてよ。さっき言ったよな、『女王の汀』はメルテア王族しか触れられないって。」
「それと何が関係があるというのだ。このような年端もいかぬ者たち、早く返すべきだ。」五ヱ門が言う。
「双子なんだよ、そいつら。しかも、メルテア王族の血を引くな。」

「…!!」

「おい…ウソだろ…⁈…そんなこと、知らねーよ!!」

「嘘だと思うだろうが本当なんだよ。二人の力がいる。それに、そのまま街やあの寺にいたら危ない。」ルパンが真剣な目で見つめる。

その時だった…

ドオン…!

地面が大きく揺れる。

「…なんだ…?!」
「あいつらだ!逃げるぞ!!」次元が叫ぶ。
「お前らのことは俺たちが絶対守る。だから、今は信じてくれ!」

五ヱ門は煌閃の手を繋ぎ、不二子はロビンの手を繋いで走り出す。

敵は城の中にすでに入り込んでいた。
ルパンと次元が次々に敵を蹴散らしていく。
「次元!煌閃を頼む!」ルパンが出口に向かって走り出す。
「あぁ、相棒!死ぬなよ!!」次元も最後の敵を片付けると、後を追った。

外は包囲されていた。
五ヱ門が斬鉄剣を抜き、跳躍。着地するとともに斬りかかる。

「てぇやあああ!!!」

一直線に走り抜けると同時に、敵が一気に倒れた。
それでも、まだ敵は湧いてくる。

不二子が敵の車を奪い、城の前につける。
助手席にはロビン。
ルパンがワルサーを撃ちながら、車に飛び乗った。
車は勢いよく飛び出していった。

やがて次元も車を奪い、五ヱ門と煌閃を乗せた。
城の周りには一人残らず敵が倒されていた。
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