煌閃と五ヱ門は次元の操縦するヘリに乗せられ、とある古城へ向かっていた。
雲と空がどんどん流れてゆく。

「なぁ、五ヱ門。」
「なんだ？」
「仕事ってなんのことだ？」
「…」
「教えてくれよ。」
「…じきに分かる。」

いつもそうだ。五ヱ門は大事なことはいつも言葉で言わない。
侍らしく、余計な言葉では語らないってか… ため息をつき、壁に背中を預けた。

しかし、この「次元大介」という男は何者だろうか。操縦席を覗き込み、姿を観察した。
ふと腰のあたりに目が止まる。
…銃。しかもかなり大きめの。
思わず息を呑んだ。

「どうした？小僧？」
「小僧って!俺の名前は煌閃。」
「そうか。」
「次元さん」
「次元でいい。」
「じゃあ、次元、聞くけど五ヱ門とはどんな関係だ？」
「昔からの知り合いだ。言ったろ。」
「仕事ってなんのことだ。俺になんの関係がある？」
「仕事は仕事だ。それ以上でもそれ以下でもねぇ。」次元はぶっきらぼうに返す。

「ったく、なんなんだよ…」
二人とも同じようなタイプらしい。

「なあ、五ヱ門。」
「どうした、次元。」
「なんでまた、そのガキといるんだよ。」
「 煌閃は拙者の修行仲間だ。」
「そいつが何者か知ってるのか？」
「知らぬ。でも、拙者にとってとても大切な者だ。」

何者、だって？俺は一体なんだって言うんだ。
五ヱ門に「大切」と言われたことは嬉しかったが、「何者」という言葉が気になって仕方がなかった。

「さっきから、二人でなんなんだよ！何者？俺がなんだっていうんだよ！」

二人はまた黙り込んだ。

「あーっ！！もう知らねーよ！！」
訳がわからない。少しくらい何か教えてくれたっていい。そんなことを思いながら、ドスンと腰を下ろす。

やがてヘリは高度を落とし、着陸態勢に入る。
古城の屋根が近づき、地面に降り立った。
ヘリから降りると、城の入り口に黄色い車が止まっているのが見えた。