ここはとある王国。
人口一万人にも満たない小さな国だった。
ロビン はこの国のパン屋の子として育った。

朝早く起きて、パンを焼き、一日が過ぎていく。
平凡。でも、それが好きだった。
そう、『彼ら』に会うまでは…

ある日、この国に伝わる秘宝『王妃の汀』が国民に展示されることになった。
王妃の汀、一度は見てみたいと思った宝物。
でも自分には関係ない。
だって、私はパン屋の娘。どう考えても私なんかが見れるものではない。
こうして毎日が過ぎていく。

そして、公開の日。
街の通りは人々で賑わっていた。ほとんどがこの国の人ではない。
窓から通りを見て、ため息をつく。
窓の外にはこの国のお城が見える。

やがて、公開を知らせる風船がお城から飛んでいく。
いかにも平和で、華やかな光景だった。

しかし、次の瞬間、

ドオオーン、という爆発音とともに、お城から煙が上がるのが見えた。

騒然とする通り…人々は落ち着きを失い、逃げ惑う。

あれは何？街の屋根を影が飛び跳ねていく。
その数4つ。

やがて、その影はこちらの方に向かってくる。
ロビン の向かいの家の屋根を通り過ぎる4つの影。

そのうちの赤いうちのジャケットの男がこちらを向いた。
そして、ニヤリと不敵な笑みを見せ、「すぐに迎えに来るぜ！お姫様！」と ロビン に叫んだ。

…お姫様？誰のこと？

きっと何か夢でも見ているのだろう。
ロビン は振り返り、仕事に戻ることにした。