ご令嬢とは呼ばないで
お嬢ちゃんお名前は?
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「で、招集もかかってないのに何の用だい。」
「うちの可愛いご令嬢ちゃんに誕生日プレゼントだよおつるさん。」
「ドフィ、ご令嬢って呼ばないで。」
あの後通りがかったおつるさんに何故か俺まで連行されて、今はおつるさんの執務室。
「ドフィが日頃お世話になっています。
この度は突然の訪問大変失礼しました。」
「随分と礼儀のなった子だね。
本当にアンタん所の子かい?」
ぺこりと頭を下げる女の子はおつるさんが言う通りものすごく謙虚だし礼儀作法もいいとこのそれだ。
とてもじゃないがこの礼儀と縁のないピンクの男と同じ所属とは思えない。
「改めまして、ドンキホーテ海賊団の」
「違うだろ。」
彼女の自己紹介を遮る低く唸るような声。
それに臆することなく、困ったような視線を投げる彼女。
「こいつは一緒に住んじゃいるが、うちのファミリーのもんじゃねぇ。」
「まぁ、そう、そういうことです。
居候のユーリと言います。以後お見知り置きを。」
ユーリが"居候"と語気を強めて言えば、ドフラミンゴは満足そうにフフフと笑った。
「で、その居候ちゃんのために海軍まで出向いてなんの用よ。」
俺が口を挟めば、ユーリちゃんの肩がピクリと跳ねた。
そしてその場で土下座し始める。
「ほんっっっとうにご迷惑お掛けしてすみません!!」
「キミが頭下げるこたァないでしょうよ。」
「そうだよ。どうせそこのバカに連れてこられたんだろ。」
ユーリちゃんは床に膝を着いたまま、顔をそろりとあげた。
「元はと言えば私が発端というか……なんというか……」
「フフフ、ユーリちゃんが大将青雉様に会いたがるもんだから連れてきてやったんだよ。」
あー……それで誕生日プレゼントね……。
おつるさん、そんな「この男に……?よりによって……?」みたいな顔して俺を見ないで。
「はぁ……ただの居候にしては、随分と甘いんだね。」
「おつるさんなら把握くらいしてるだろ、噂のご令嬢で。」
「そりゃね。」
海軍の中でもトップシークレットに近い情報。
ドンキホーテファミリーには、戦闘員でもなくメイドでもない、ただのご令嬢が存在している。
そんなのただの噂くらいに思っていたが……
実際ユーリちゃんは戦えるようには見えないし、まだ床に正座してるこの腰の低さだ。
「これ以上ご迷惑がかからないうちに帰りますので……」
「フフフ、何言ってやがる、迎えが来るまで滞在するに決まってるだろうが。」
「何日滞在する気なの!!ドフィの能力使えばひとっ飛びでしょうが!!!」
「あ"?モーツカレタ。」
「嘘つけ!!!」
さっきまでの謙虚さはどこへ。
今はでかいドフラミンゴに対してキャンキャンと吠える小型犬のようだ。
「そんなに迷惑と思うなら俺だけ飛ばして後から帰ってくりゃいいだろ。」
「3日間一人でどうしろと?!?!
ドフィが勝手に引っ掴んで飛んでくるからお金もって来てないんだけど!」
「そりゃーお前、"愛しのクザンさん"のうちにでもころがり込めばいいだろうが。」
「出来るか!!!!」
まるでコントのように会話が目の前で繰り広げられる。
所々訳の分からないことや聞き捨てならないことが聞こえたような気もしないがあーあれだ、、、忘れたからいいや。
「あ。」
ドフラミンゴが大袈裟に何かを思いついたかのように手を鳴らした。
「その辺の男捕まえて体で金稼げばいいんじゃねぇの?」
「んな事できるかぁーーー!!!」
「そっかぁ……ユーリチャン処女だもんなぁ……」
あららら、処女なの。
こんな可愛いのに。
ことの成り行きを見守っていた中出てきた爆弾発言に、ユーリちゃんは顔を真っ赤にさせてワナワナと肩を震わす。
そして、
「うっ……」
「フ。」
「あららら……」
「はぁ……」
とうとうボロボロと泣き始めてしまった。
それを見てピシリと固まるドフラミンゴ。
「クザン……ちょっと外に連れてっておやり。」
「あー……はい、おいでユーリちゃん。」
俺は今なお静かにポロポロと泣く女の子の手を引いて外へ向かった。
「ドフラミンゴ。」
「……普段はあんなんじゃ傷つかないどころか反撃してくるんだ……。」
「惚れた男の前で恥かかしたんだよ。」
「フ、……」
「後で謝んな。」
「あぁ……。」
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