幼女拾われました
お嬢ちゃんお名前は?
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「たぶん、」
ぽつりぽつりと、言葉をこぼす。
クザンさんはそこにいて、その溢れ出る言葉を静かに拾ってくれていた。
「元いた世界の、私の存在その物が消えちゃったんじゃないかと……」
これが夢じゃないというのなら、
「なので、私の記憶にも私がきれいさっぱりいないです。」
これが夢にまで見たトリップだと言うのなら、
「でも残念なことに、私はこの世界の……この先の未来を少し知っています。」
これが私の運命だと言うのなら、
「クザンさんが、私を危険だと思うのなら、」
受け入れよう。
そして委ねよう、私の未来を。
「今ここで、死んでもいいです。」
初めて恋をした貴方に。
人払いでもしてるのか、辺りは静かだった。
クザンさんは何かを考えていて、言葉を発さない。
あぁ、かっこいいなぁ。
私はいつ死ぬかも分からないから、ここぞとばかりにクザンさんの横顔を眺めていた。
初めて恋をしたあの時から、一生会うことは出来ない相手。
なんせ次元が1個下なんだ。
当たり前だけど文字通り世界が違う。
そんな恋い焦がれた相手が、今目の前にいて、触れようと思えば触れられる距離に居る。
こんなに幸せなことがあってもいいんだろうか?
「……ユーリ、」
そんな幸せな沈黙を楽しんでいたら、クザンさんが人名らしき言葉を発した。
首を傾げていると、前を向いていたクザンさんが私を見る。
「名前、ないと不便でしょ。ユーリとかどうかなって。」
「もしかして、今まで名前考えてくれてたんですか?」
「あらら、そんなに時間かかってた?
俺ァ人の名前とかつけたことねぇからなぁ……やっぱりボルサリーノとかセンゴクさんに、いや、でもなぁ」
あんな真剣な顔で、私の名前を考えてくれての……?
えっ、好きじゃん???
あまりにも好きすぎて小さくなった両手で顔を覆う。
「ユーリがいいです……」
「あ、ほんと?じゃぁ今日からユーリちゃんね。」
あまりの嬉しさに震える声に、クザンさんはさも当たり前かのように応えてくれる。
「私、利用価値と危険性の天秤にかけられてるんだと思ってました……」
「え、なに……ユーリちゃんの中で俺そんなに酷い男なの?」
そんなことない!と顔を上げると、クザンさんはちょっと笑ってて、そんな顔にも心臓を撃ち抜かれる。
「んなこたぁ、拾った時にはもう責任持つって決めてるよ。だから、」
「キャッ、」
長い腕に引き寄せられ、抱きしめられるように距離を詰められる。
「もしユーリちゃんを殺さなきゃいけない状況になったら、
俺の手で殺してあげる。」
どんな口説き文句よりも、甘くて、色っぽくて、危険な言葉に、
心臓がぎゅっと掴まれたように苦しくなる。
「……ひゃぃ……」
「普通そこは怖がるところじゃねぇかなぁ……。」
照れまくって頭から湯気が出そうなほど顔を赤くした私を見て、
クザンさんがちょっと呆れたように笑ってほっぺをつついた。
そういうとこっ!!!