幼女拾われました
お嬢ちゃんお名前は?
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急に意識が覚醒する。
頭が痛いような気がするが周りが明るいことに焦る。
「会社に電話っ」
そう独り言を呟き、声に違和感。
そして今の現状にさらに違和感。
ここはどこ??
「あららら、起きてたの。」
「ど、ど、どうして……っ」
カーテンを開け、中をのぞきこんでいるのは紛れもなく、
あの作品の中で1番好きだったキャラクター。
クザンさん
またの名を、大将 青雉。
「え?なに、お嬢ちゃん俺のこと知ってんの??」
あぁ、あぁ、心臓がうるさい。
なんだこれは夢か、夢だな、最高だな?!?!
よくよく自分の体を見れば、クザンさんが「お嬢ちゃん」って呼ぶくらいのサイズだし、
クザンさん×幼女!!!!!
私の深層心理最高だな?!?!
「あっ、あの、えっと、」
「まぁまぁ落ち着きなさいって、丸一日寝込んでたんだから。」
クザンさんはそう言うと、横にあった小さな椅子じゃなくて、ベッドに腰掛ける。
そしてあろうことか、その大きな手で私の頭を撫でて、その流れで頬に触れた。
「〜〜〜っ?!」
「あららら、また真っ赤になっちゃった。」
驚きに顔が一気に熱くなる。
「けどま、熱は下がったみたいだな。よかった。」
そうだ、こんな夢を呑気に見ているが現実の私は熱に魘され今にも死にかけているんだった。
あーでも……
「こんな夢なら、ずっとこのままがいいなぁ……」
「は?」
私の小さな独り言を拾ったクザンさんが、驚きの声をあげた後じっと私を見つめる。
ほんの少し色素の薄い茶色い瞳に見つめられるだけで、身体は言うことを聞かなくて、恥ずかしいのに目を逸らせない。
あぁ、どうしよう、心臓が破裂しそうなほどバクバク言ってる。
「あ、の……」
絞り出した小さな声は、震えていた。
「あー……言いにくいんだが、お嬢ちゃんのこれは夢じゃねーよ?」
まぁそんなトキメキも、クザンさんの一言で全て打ち砕かれる。
「お前さん……もしかしてこっちの世界の人間じゃなかったりする?」
クザンさんの視線の色が変わる。
ビリビリと痛い。
体が無条件に距離を取ろうと後ずさるけど、ベットの柵にぶつかって止まった。
「ハッ、ハッ、ハッ」
呼吸が辛い。
なにこれ。
怖い。
助けて。
「、クザンさん……っ」
「っ?!」
ただ助けて欲しくて、目の前の大好きなあなたの名前を呼ぶと、ほんの少しだけ表情を変えたクザンさんが額に手をやって「あー……」と歯切れ悪そうに声を出した。
「とりあえず、まぁなんだ……お嬢ちゃん名前は?」
さっきの恐怖はもう居ない。
きっとあれはクザンさんの殺気だ。
「名前は……」
そしてここに来て、私は重大なことに気がつくのだ。
「なまえ、は、」
私って、誰だっけ??
どんなに記憶をたどっても、周りのことしか思い出せない。
私以外の全ては覚えているのに、まるで私だけがあの世界から消えてしまったような……
「ぁ……」
多分、消えちゃったんだ。