ハンギングツリー

 両親から聞かされた僕の幼い頃の話は、赤ちゃんをあやすぐるぐる回るおもちゃが好きだったこと。

 あれを回すと途端に泣き止んで笑っていたそうだ。

 小学生の時、両親に連れられて行った遊園地。

 人が機械に吊されてぐるぐる回る装置を見て欲しくなった。

 いつか大人になったらそんなおもちゃを作ろうと。

 中学生の時にテレビの特集でやっていた首吊り自殺。そこで首吊り自殺した者はハングドマン、ぶら下がる木はハンギングツリーと知って興奮した。

 その頃には死にたい人間を見分けることが出来たから、自分には本物を作れると確信してた。

 あとはただひたすら技術を磨いて自分の理想の装置を完成させるだけ。

 そこからはあっという間だったな。

 自分の瞳が特殊なことも知っていたし、簡単だった。

 僕はこれからも人々を助けていくんだ。

 自殺願望を抱きながら死ねずに苦しんでいる人は沢山いる。

 僕は自分の行為に誇りを持っているよ。

 だってみんな僕に感謝して眠っていくからね。

 僕のハンギングツリーを賑やかにすることも出来て幸せだよ。

 これからも沢山の人に喜んでもらえるよう、努力する。

 それが僕の慈善活動だからね。


 完


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