ハンギングツリー

「このハングドマンは後で処分しないと」

 降ろした男のハングドマンをちらりと一瞥し、またハンギングツリーのスイッチを押す。

 彼にとってハンギングツリーにハングドマンとして吊されている間までが慈しむ相手であり、壊れた人形モノは無価値になる。

 途端に熱が冷めて興味を失ってしまうのだ。

 ひとり増えてまたひとり減ったハンギングツリー。

「また増やさないと」

 止まることなく回り続ける大木を眺めながら呟く。



 彼はこの恐ろしい行為を悪いこととは思っていない。

 むしろ慈善活動とすら思っている。

 回るツリーに沢山の人間を吊したい彼と死にたい人間。双方の意見は一致しているのだから願ったり叶ったりではないか? とむしろ良いことと捉えていた。

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