ハンギングツリー

「綺麗だよ、とても綺麗だ」

 完成した新たなるハングドマンを前に零慈はひとり、パチパチと手を叩いた。

「さて、君も仲間入りだよ」

 まずは回転し続けているハンギングツリーの動きを停止させる。

 零慈は女の身体を抱え木の枝先に固定させるべく首にロープをつけた。

 しかし首のみをつけると身体の重さが一点にかかり、死体の損傷が激しくなるので、胴体にもロープをつけ紐を結ぶ。

「ああ、彼はもう駄目かな……」

 女を吊した後、零慈は吊されたハングドマンのひとりに目をやる。

 ずっと吊され続けているため、いくら防腐処置を施してもやがて損傷していく。

 遠目にはわからない位の僅かな皮膚の捲れだったが零慈は男のハングドマンを降ろす。

 彼にとってこのハンギングツリーは完璧でないといけなかったからだ。

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