夜毎行われるは絵の中で

「さあ診察を始めましょう」

 そう言って看護師たちは俺の体を弄ぶ。俺はベッドに縛り付けられ、なすがままにされる。

「ああもう止めてくれ」

 くすくすけらけら笑う看護師たち。

 その目は皆空洞で、口は耳まで裂けている。

「ふふふ ふふふ 可愛い」

 俺の顔を撫で回し口づけて、異様に長い舌を絡めてくる。漏れる息は生臭く、息苦しい。

「痛いけど我慢しましょうね」

 腕に何本も打たれる注射。いたずらに入れられるメス。あまりの痛さに俺は叫ぶ。

「大丈夫。今から気持ちよくしてあげる」

 そう言い俺の体に跨がって腰を揺らす看護師。その気持ちよさに気がいきそうになるが、他の看護師たちが俺の首を絞めたり、爪を剥がしたりして、苦痛を与える。

「ああああ────っ」

 苦痛と快楽の中、俺は気を失った。


 どんなに、どんなに願っても解放してはもらえない。この夜のように、ずっと終わる事はない。

 何度も逃げようとした。けれど窓もドアも開かない。

「無駄な事よ。枠の外には出られない」

 看護師の一人が言う。

「枠? どういう意味だ」

「ふふふ、教えてあげない。貴方はここでずっと、私たちといるの。ふふふふ……」


 目が覚めれば看護師たちが言う。

「さあ診察を始めましょう」

 そしてまた俺が気を失うまで続く苦痛と快楽。それの繰り返し。

 一体ここはどこなんだ。誰かここから出してくれ。それが無理ならどうかもう殺してくれ。

 その願いは看護師たちの笑い声でかき消され、俺はまた意識を手放す。

 次はもう、目覚めない事を祈って……。




 完

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