おっぱい星人は今日もウザい

「ねえ、なんでおっぱいにブラジャーが必要なの?」

 きたよ、唐突なおっぱい星人の問いかけ。

 私は答えるのもめんどくせぇと思いつつ、相手にしないとそれはそれでめんどくせぇので答えた。

「ブラジャーしなきゃ、君の大好きなおっぱいが垂れるからだね」

「え、そうなの? だからブラジャーってするんだ、へぇー」

 たゆんたゆん、と裸でベッドにいる私の胸を下から包み込むように持ち上げて揺さぶる変態。もとい私の彼氏。

「じゃあさじゃあさ、これからは僕が那由多のおっぱいを支えてあげるよ! ほら、こうして」

 揉み揉みしてきやがったので、いい加減にせいやと一発殴る。

 頬を押さえて潤んだ瞳でこちらを見る彼氏……のはずの人。

「ひどい、僕の愛を拒否するなんて! 那由多のばかぁー」

 あーあ、めんどくせぇ。

 私の胸の谷間に顔を突っ込み、ぐりぐりしてくる。くすぐったいからやめろ。

「那由多、好き」

「……めんどくせぇ」

 幼なじみの腐れ縁、幼稚園の頃からの付き合いで毎月1回告白され続け、断り続けていた。

 しかし、おっぱい星人は諦めが悪く、ウザかったので仕方なく高1の夏に付き合い出した。つまり今から3ヶ月前の事だ。

 付き合いだしてからおっぱい星人は、えへえへ気持ち悪い笑いをいつもしながら、私の後をついてくるようになった……いや、前からか。

「那由多のおっぱい、絶対子供には渡さないからねっ」

 はあ?

 ひとり回想している間に、どうしてそうなった?

「なんの話?」

「ひどい那由多! 聞いてなかったの! 君と僕との未来について話してたのにっ!」

 ああ、めんどくせぇ。

 泣き出す馬鹿にとりあえず、よしよしとしてやると、すぐに笑顔になった。まあ、可愛いんだけどね。キモいけど。

「那由多、君のおっぱいはずっと僕だけのものだよっ」

「そこは那由多は僕だけのものだよ、じゃないのか。やっぱりおっぱいにいくのか。おっぱい目当てか」

「もちろん、那由多のおっぱいだからだよっ」

 そう言って私のおっぱいに吸い付いてきた。

「あっ、ちょ、ばかっ」

「よし、出来た」

 ヒリヒリするから絶対にキスマーク付けられた。

「愛してるよ、那由多!」

 やめろ、その顔。

 なにもかも許してしまいたくなる、キラーフェイス。

「むかつくっ」

 私は馬鹿の頭を叩いて、ベッドから降りた。

 あんなの好きじゃなかったはずなのに、いつの間にかほだされている自分がいる。それに腹が立つ。

「那由多、待ってよ」

 犬のように私の後をついてきて、おっぱい星人は、

「ずっと愛してるからね」

 と、にこりと笑ってきた。

 ああもう馬鹿……。



 むかつくので、またおっぱい星人の頭を叩いた私だった。





 完



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