5月のホームパーティー
「燦チャン♬この子ネ、今年の期待株なんダヨ♬」
そう遥に紹介された新入社員は都築愛琉と言い、整った顔立ちの真面目そうな好青年だった。
「初めまして奥様。今年アスミライに入社しました都築愛琉です。今日はお招きいただきありがとうございます」
きっちりとした物言いに燦も慌てて挨拶を返す。
「こちらこそ。今日はお忙しい中、主人のわがままに付き合っていただいて」
「エエ~ワガママってなに~?ボクはみんなと早く仲良くなりたくて、このホームパーティーを開いたんダヨ~?」
燦を前にすると、途端に駄々っ子のようになる遥だったが、愛琉はきちっと返し、
「社長自らが率先して社員たちをまとめ上げ、私たちの話をする機会を設け、話を聞き、それを採用して下さるから、こうして皆が遥社長について行くんです。今回のホームパーティーも、社長が私たち社員とのコミュニケーションの一環として開いて下さったこと、感謝しています」
燦は確かにこの子は将来有望かも。と思う。
「愛琉クンはネ、こんなきちっとした子だケド、妹さんを猫かわいがりしてるんだって♬ネ、愛琉クン?」
「はい、恥ずかしながら年の離れた妹が可愛くて……あ、名前は瑠璃と言うのですが」
「早くコッチで、一緒に住みたいんだヨネ?」
「はい、いまは田舎の両親と住んでいますが、いずれはこちらに呼びたくて」
妹さんがよほど可愛いのだろう、優しげなその瞳には、田舎で待つ妹を映しているようだった。
「だから、早く成果を上げて、是非ともアスミライに貢献したいんです」
「つまり給料上げて、早く妹サンを呼び寄せたいんだヨネ?素直ダネェ♬そんなに大好きなんだネ~♬」
「しゃ、社長っ、……は、はい。そうです……」
妹思いの兄できっと優しいのだろう。
「妹さんが東京に来たら是非、会ってみたいな。愛琉君が可愛いがってる妹さんを、見てみたいです」
そう燦が話すと、
「はい!奥様のような優しい方、きっと瑠璃も癒やされるはずだから、ありがたいお話です」
愛琉は嬉しそうに年相応な笑顔を見せた。
「じゃあ、燦チャン。ちょっと愛琉クンと仕事の話してるネ」
そうして遥と愛琉はまた話を始めたようだったが、内容が聞こえてきても全然わからなかった。
「社長は普段、仕事をサボったりもするのですが、社員たちの面倒見が良くて、慕われているんですよ。仕事もされる時は早いですし」
こそっとこまこまちゃんが教えてくれるのを、燦は嬉しく聞いていた。
普段と違う遥の会社での様子は、燦としても知りたかったから。
「社長は社員の悩みを聞いたりもしてくれますし、アイデアとかも積極的に採用してプロジェクトを任せてくれるんです。だからみんな信頼していますし、素晴らしい社長の元で働けて、みんな活き活きしてるんです」
「なにより、常に新しい新薬を開発し続ける社長の、精力的な活動は尊敬します」
近くにいた社員も、遥の社長としての実力を認め尊敬していることを、話してくれた。
そうなんだ、遥くんはやっぱり社長さんとしても、立派にやっているんだね。
燦は今日のホームパーティーを開いてよかったと。
普段見られない旦那さまの姿を知ることが出来てよかったと、そう思っていた。
────
────────
新入社員たちが帰ったあと、遥は燦のお手伝いをして、片付け作業をしていた。
「はあ、やっと終わったネ。燦チャン、お疲れサマ♬今日はアリガトウ♡」
ちゅっちゅ、ちゅっちゅと、燦にキスの雨を降らせる遥は食器洗いをする燦を後ろから抱き締めてきた。
「遥くん、まだダメ。片付け全部終わってませーん」
「ハーイ。じゃあ食器拭くネ♬」
遥的には社員たちと話していて、燦とあまりイチャつけなかったのが足りなかったのだろう。
食器拭きを終えたあと、すぐにお風呂洗いに行き、
「サア、燦チャン♬一緒に入ろうネ~♬」
「まだ片付けちょっとあるんだけどっ……て、遥くん!」
「ダメダメ、早く入ろ♬」
燦を抱き上げてお風呂へと直行した。
やがてお風呂からは燦の甘い声が響く。
こうして、ホームパーティーは無事に終わり、燦と遥はいつもの夫婦の日常生活を送るのだった。
完
そう遥に紹介された新入社員は都築愛琉と言い、整った顔立ちの真面目そうな好青年だった。
「初めまして奥様。今年アスミライに入社しました都築愛琉です。今日はお招きいただきありがとうございます」
きっちりとした物言いに燦も慌てて挨拶を返す。
「こちらこそ。今日はお忙しい中、主人のわがままに付き合っていただいて」
「エエ~ワガママってなに~?ボクはみんなと早く仲良くなりたくて、このホームパーティーを開いたんダヨ~?」
燦を前にすると、途端に駄々っ子のようになる遥だったが、愛琉はきちっと返し、
「社長自らが率先して社員たちをまとめ上げ、私たちの話をする機会を設け、話を聞き、それを採用して下さるから、こうして皆が遥社長について行くんです。今回のホームパーティーも、社長が私たち社員とのコミュニケーションの一環として開いて下さったこと、感謝しています」
燦は確かにこの子は将来有望かも。と思う。
「愛琉クンはネ、こんなきちっとした子だケド、妹さんを猫かわいがりしてるんだって♬ネ、愛琉クン?」
「はい、恥ずかしながら年の離れた妹が可愛くて……あ、名前は瑠璃と言うのですが」
「早くコッチで、一緒に住みたいんだヨネ?」
「はい、いまは田舎の両親と住んでいますが、いずれはこちらに呼びたくて」
妹さんがよほど可愛いのだろう、優しげなその瞳には、田舎で待つ妹を映しているようだった。
「だから、早く成果を上げて、是非ともアスミライに貢献したいんです」
「つまり給料上げて、早く妹サンを呼び寄せたいんだヨネ?素直ダネェ♬そんなに大好きなんだネ~♬」
「しゃ、社長っ、……は、はい。そうです……」
妹思いの兄できっと優しいのだろう。
「妹さんが東京に来たら是非、会ってみたいな。愛琉君が可愛いがってる妹さんを、見てみたいです」
そう燦が話すと、
「はい!奥様のような優しい方、きっと瑠璃も癒やされるはずだから、ありがたいお話です」
愛琉は嬉しそうに年相応な笑顔を見せた。
「じゃあ、燦チャン。ちょっと愛琉クンと仕事の話してるネ」
そうして遥と愛琉はまた話を始めたようだったが、内容が聞こえてきても全然わからなかった。
「社長は普段、仕事をサボったりもするのですが、社員たちの面倒見が良くて、慕われているんですよ。仕事もされる時は早いですし」
こそっとこまこまちゃんが教えてくれるのを、燦は嬉しく聞いていた。
普段と違う遥の会社での様子は、燦としても知りたかったから。
「社長は社員の悩みを聞いたりもしてくれますし、アイデアとかも積極的に採用してプロジェクトを任せてくれるんです。だからみんな信頼していますし、素晴らしい社長の元で働けて、みんな活き活きしてるんです」
「なにより、常に新しい新薬を開発し続ける社長の、精力的な活動は尊敬します」
近くにいた社員も、遥の社長としての実力を認め尊敬していることを、話してくれた。
そうなんだ、遥くんはやっぱり社長さんとしても、立派にやっているんだね。
燦は今日のホームパーティーを開いてよかったと。
普段見られない旦那さまの姿を知ることが出来てよかったと、そう思っていた。
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新入社員たちが帰ったあと、遥は燦のお手伝いをして、片付け作業をしていた。
「はあ、やっと終わったネ。燦チャン、お疲れサマ♬今日はアリガトウ♡」
ちゅっちゅ、ちゅっちゅと、燦にキスの雨を降らせる遥は食器洗いをする燦を後ろから抱き締めてきた。
「遥くん、まだダメ。片付け全部終わってませーん」
「ハーイ。じゃあ食器拭くネ♬」
遥的には社員たちと話していて、燦とあまりイチャつけなかったのが足りなかったのだろう。
食器拭きを終えたあと、すぐにお風呂洗いに行き、
「サア、燦チャン♬一緒に入ろうネ~♬」
「まだ片付けちょっとあるんだけどっ……て、遥くん!」
「ダメダメ、早く入ろ♬」
燦を抱き上げてお風呂へと直行した。
やがてお風呂からは燦の甘い声が響く。
こうして、ホームパーティーは無事に終わり、燦と遥はいつもの夫婦の日常生活を送るのだった。
完