お別れに悲しめど愛は続く

「遥くん、遥くん……ぐすっ」

 あの後、体が動くようになった私は、ラブホテルに乗り込む勇気が持てずに、そのまま帰って来てしまった。

「なんで、帰って来ちゃったのかな、私……」

 答えはわかってる……遥くんに『さよなら』を告げられるのが怖かったのだ。

『キミはもうイラナイ。バイバイ』

 遥くんの優しいエメラルドグリーンの瞳が、私を軽蔑するように、嘲笑するように見据えられたらと思ったら、怖くて怖くて堪らなかったのだ。

「今頃、こまこまちゃんと遥くんは……」

 こまこまちゃんは私と違って、ダイナマイトボディーだ。セクシーだ。

 こんなちっぱいなオッパイで、お尻も小っちゃい、幼児体型で色気もない私なんて、こまこまちゃんの大人な色気には勝てない。

 知ってる、知ってた。

 こまこまちゃんは遥くんのこと、好きなんだなって、彼女の遥くんを見つめる瞳は恋してたもの。

『あん、社長……!!』

『こまこまちゃん、いやらしいネ?』

 ベッドで体をくねらせて悶えるこまこまちゃん、余裕の笑みを浮かべてこまこまちゃんを苛める遥くん……。

「いやっ!!」

 なんて想像しちゃう自分が嫌だった……。

「遥くん、遥くん。大好きだよぉ……っ!!他の女性とえっち、しないで……!!」

 私の心はボロボロで、全てが暗闇に閉ざされていった……。


2/4ページ
スキ