異世界トリップ遥編
そうして晩御飯を燦に作ってもらい食べた。「おいしいヨ」「ありがとう」一見にこやかな雰囲気でも、やっぱりどこか、ぎこちない。だからその日は早々に2人、眠ることにした。
「燦チャン、お休み」
ボクが隣りで横になる燦に声をかけると、燦はにこっと笑って話し出した。
「遥くん。遥くんは、この世界で幸せなんだね」
燦が優しい微笑みを浮かべて、ボクを見る。
「私ね、あっちの元の世界でね、遥くんのことずっと心配してたの。いつも甘い物ばかり食べてるし、栄養失調になっちゃう! って」
「アハハ、そうかもネ。甘い物はやめられナイけどネ」
ふふっと笑うその笑顔も、全部ボクの妻そのもの。
「それにね、遥くんはいつも笑っているけど、どこか淋しそうでね、心配だった」
燦がボクの頭を撫でながら、優しく話す様は、母親が子供に向ける愛情のような慈しみに満ちていた。
「葵くんにね、遥くんは『僕も含めてあの男は燦以外、愛せない男だから』って前に聞いてね、そんなことないよって思ってたの。でもこっちの世界に来てね、貴方を見ていて思った」
燦の手がボクの顔にかかった前髪を払ってくれる。
「ああ、遥くんは本当に私を愛してくれているんだなって。私を見ながら貴方の妻の私をその中に見る瞳が、『愛してる、愛してる』って、言ってるって」
だからね、と燦は言葉区切り、
「ありがとう、こっちの私を愛してくれて。隣りで笑ってくれて。貴方を見ていればわかるよ、こっちの私は幸せなんだって。だからありがとう、そしてごめんね。早く貴方の愛してる妻と戻れるように、私も祈っているからね」
「燦……」
「それだけ。じゃあお休みなさい、遥くん」
そうして燦はボクの頭をひとなでしてから、瞳を閉じて眠りについた。
燦がそんな風に想ってくれるなんて……なんて、なんて彼女は愛が深い子なんだろうか。朝、無理やり彼女を抱いたボクに対して、そんな風に想えるものなんだろうか。
「燦、ありがとう」
ボクはあの頃の燦に自分の気持ちを、わかってもらえたような気がして、また泣けてしまった。
燦、燦。逢いたい、いますぐキミを抱き締めたいヨ……。
そうしてボクも眠りについた。
神サマ、もうボクにいじわるしないで……。
「燦チャン、お休み」
ボクが隣りで横になる燦に声をかけると、燦はにこっと笑って話し出した。
「遥くん。遥くんは、この世界で幸せなんだね」
燦が優しい微笑みを浮かべて、ボクを見る。
「私ね、あっちの元の世界でね、遥くんのことずっと心配してたの。いつも甘い物ばかり食べてるし、栄養失調になっちゃう! って」
「アハハ、そうかもネ。甘い物はやめられナイけどネ」
ふふっと笑うその笑顔も、全部ボクの妻そのもの。
「それにね、遥くんはいつも笑っているけど、どこか淋しそうでね、心配だった」
燦がボクの頭を撫でながら、優しく話す様は、母親が子供に向ける愛情のような慈しみに満ちていた。
「葵くんにね、遥くんは『僕も含めてあの男は燦以外、愛せない男だから』って前に聞いてね、そんなことないよって思ってたの。でもこっちの世界に来てね、貴方を見ていて思った」
燦の手がボクの顔にかかった前髪を払ってくれる。
「ああ、遥くんは本当に私を愛してくれているんだなって。私を見ながら貴方の妻の私をその中に見る瞳が、『愛してる、愛してる』って、言ってるって」
だからね、と燦は言葉区切り、
「ありがとう、こっちの私を愛してくれて。隣りで笑ってくれて。貴方を見ていればわかるよ、こっちの私は幸せなんだって。だからありがとう、そしてごめんね。早く貴方の愛してる妻と戻れるように、私も祈っているからね」
「燦……」
「それだけ。じゃあお休みなさい、遥くん」
そうして燦はボクの頭をひとなでしてから、瞳を閉じて眠りについた。
燦がそんな風に想ってくれるなんて……なんて、なんて彼女は愛が深い子なんだろうか。朝、無理やり彼女を抱いたボクに対して、そんな風に想えるものなんだろうか。
「燦、ありがとう」
ボクはあの頃の燦に自分の気持ちを、わかってもらえたような気がして、また泣けてしまった。
燦、燦。逢いたい、いますぐキミを抱き締めたいヨ……。
そうしてボクも眠りについた。
神サマ、もうボクにいじわるしないで……。