小さい時に母が亡くなり、父は男手ひとつで私を育ててくれた。父は亡くなった母をとても愛していたので、再婚せず私にいつも母の話をしてくれた。

　警察官のため仕事で忙しい父の役に立ちたくて、自然と家事全般をやるようになった。だから家事は好きだし得意で、将来はお嫁さんになりたいと思ってた。

　中学1年の時、父が事故で亡くなり親戚の家で暮らす事になった。優しい人たちで私を気遣ってくれたけど、やはり本当の家族にはなれず、養ってもらう事に引け目を感じていた。

　ただ、中学の学費は父の遺してくれたお金や保険金で払う事にしていたので、その面は親戚に迷惑かけずに済んだ。

　高校生になってアルバイトでお金を貯めて、アパートを借りるようになり学費も掛け持ちして稼いだお金で払った。

　親戚の家で暮らし始めた時も一人暮らしを始めた時も、家では孤独を感じて淋しさが募った。でも学校に行けば友人がいたし、高校生になり彼氏も出来て、誰かが一緒にいる間は淋しさが紛れた。

　そして大学への進学はやめて、そのまま働き続けていた私は出逢う。

　彼、彼方遥（かなたはるか）と……