あげないヨ

「燦チャン、燦チャン」

 遥くんは帰って来るなり、私の名前を連呼して抱きついてきた。

「あはは、遥くん。おかえりなさい」

「ただいまー疲れたー。燦チャン、癒してー」

 まだ玄関なのに、いっぱいキスの雨を降らせてきて、私は笑ってしまった。

「遥くん、首にしたらくすぐったいよぉ」

 ひと通りラブラブしてから、遥くんは洗面所で手を洗う。

 彼の書斎でコートや背広を受け取り、ハンガーにかけて仕舞った。

「晩御飯とお風呂、どっちにする?」

「お風呂がいいカナ。燦チャン、一緒に入ろっ♪」

 仲良く2人でお風呂に入り、のぼせてしまうくらいの、情熱的な愛され方をされる。

 お風呂から出た私はふらふらになった。なので、遥くんは自分でご飯をよそい、おいしそうに食べ始める。

「燦チャンのご飯は、いつもおいしいネ♪」

「ふふっ、そんなおいしそうに食べてくれたら、作り甲斐があるよ」

 遥くんはなんだって私の料理をおいしそうに食べてくれるから、見ていて嬉しくなる。

「ゴチソウサマ♪」

 立ち上がろうとする私を制して、遥くんが食器を洗ってくれた。

「ごめんね、遥くん」

「いいんダヨ。お風呂でいっぱいしちゃったからネ」

 優しい恋人を持って私は幸せだ。ああそうか、もうすぐ旦那様になるんだ。

 そう考えると、なんだか完全に彼のものになる感じで照れてしまう。

「どうしたの、燦チャン。顔赤いヨ? 熱、出ちゃッタ?」

 心配する彼に「大丈夫」と言って、笑いかけた。

「ホント? 燦チャン、なんでも我慢しちゃうカラ、心配ダヨ」

「ありがとう、遥くん。本当に大丈夫だよ」

「ならいいケド」

 そうして2人でソファーに座り、私は甘えてくる遥くんの背中を撫でた。

「燦チャン、ずっと愛してるからネ♪」

「ふふっ、私もずっと愛してる」

 甘々な遥くんとの生活に私は満たされて、今日も明日もずっと彼を愛し続けていく。

「ずっと遥くんの事を愛してるから。だから私を幸せにしてね」

 そうおねだりしたら、遥くんに甘いキスをされた。

「約束するヨ、ボクの可愛いお姫サマ♪」

 私のエメラルドグリーンの瞳のかっこいい王子様は、うやうやしく私の手を取り、キスを落とした。





 そのあとは2人、ソファーに座って仲良く映画を観たのだった。





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