浮気したらダメだからネ

 晩御飯のあと、リビングのソファーでさんを抱きしめて、2人まったりのんびりする。

「晩御飯、おいしかったねー」

「ウン、そうだネ」

 今日はいつも、家事をがんばってくれている燦を休ませた。

 そして、食品配達サービスを利用して、近くのレストランの料理を配達してもらった。

「燦チャン」

「なあに?」

「最近よく、あおいクンと逢っているよネ」

 ボクは燦に話したかった話題を、振ってみる。

「うん、そうだね。葵くん、夏バテで痩せちゃって心配で」

「そうだったネ」

 燦は隠し事しないでくれているから、その話は知っていた。

 でもネ、燦……。

「心配なのはわかるヨ。幼馴染みだし、キミの恋人だったわけダカラ」

 3日にいっぺん逢うのって、どうカナ……。

「でも、逢いすぎじゃナイ?」

 ボクが燦の顔を覗き込むと、彼女は困った笑顔で説明をする。

「でも葵くん身体がすっかり細くなっちゃって。夏の間だけでも、料理を持って行きたいの」

 ダメ……? なんてそんな可愛い顔で訴えてきて、ずるいナァ燦チャンは。

「ボクは心配なんダ。燦チャンが葵クンに取られナイか」

 もしかしたらキスぐらいもう、されているかもしれナイし。

「燦チャンがボクの元から去って行かナイか」

 去って行くなら、監禁しちゃうケド。

「ボクだってヤキモチ、焼くんダヨ?」

 正直、葵クンを貶めたいナァ。

 燦は「ごめんなさい」と謝って、ボクの顔を見上げる。

はるかくんの元から去るなんて、絶対ないよ。私と葵くんは終わってるの。でも、葵くんは私のせいでずっと時間が止まったままで、見ていられなくて……」

 すんと、鼻を鳴らして泣く燦に、ボクはよしよしとしてあげた。

 泣くナンテ、そんな事されたら、問い詰められナイ。

「わかったヨ。でも夏までダヨ?」

 もっと燦チャンをなじるつもりだったのにナァ。

「ちゃんと約束は守ってネ?」

 彼女の泣き顔には、かなわないや。

「うん、ありがとう遥くんっ」

 燦はボクの胸に甘えてきたので、ボクは彼女にキスをした。

 でもネ、燦チャン。もしボクを裏切ったら覚悟しておきなヨ。

 ボクは燦の頭にちゅっちゅしながら、口元に笑みを作った。

 後悔して鳴いても許さナイ、お仕置きをするからネ。





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