愛し愛され愛しき日々よ

 一目惚れというのも今まで生きてきた中で、初めてだった。

 それから彼、遥くんと一緒においしいもの洋菓子店巡りをするようになり、いつの間にかそれが私の仕事を頑張る糧になった。

 遥くんは意外にも段階を踏んで私との関係を進めてくれて、それが大事にされていると感じ嬉しかった。

 今まで付き合った彼氏たちは、常に私の方が彼らの趣味に合わせていた。
 特に困ったのはラーメン大好きな人で、仕事が休みの度に、全国の有名店巡りをして、朝から新幹線に乗って3時間待ちの行列に並ぶのだ。

 休みの度に付き合わされるので、流石に半年も持たなかった。

 その点、遥くんは甘い物が好きという共通の趣味があったし、彼の方が私に合わせてくれて私の希望を聞いた上で、リードしてくれた。

 彼と一緒にいて話をするのが楽しくて、家まで送ってもらい「じゃあね」と別れた後の急に一人になる淋しさは辛かった。

 ある日、遥くんが出張で1ヶ月いなかった時、いつものように電話してくれた遥くんに思わず、

「遥くんに逢いたい……淋しいよ」

 というと、遥くんは

「じゃあボクが帰ってたら、同棲しよう?」

 そう言ってくれて、うんと頷いた。

 出張から帰って来た遥くんは、すぐに逢いに来てくれて、私は久しぶりの彼に抱きついた。よしよしと頭を撫でられ、淋しさが消えていく。

 彼の匂いや体温を感じていたらもう、このままずっと傍にいたいと思った。

 それから1年が経ち、私は仕事を辞めて遥くんと結婚した。結婚の前に遥くんから、自分は子供が出来ない身体という事を、改めて話された。

 付き合う前から聞いていたけど、遥くんはもう一度確認のためと言って尋ねる。

「ボクは燦チャンに子供がいる幸せはあげられナイ。それでもイイカイ?」

 だから私は彼にこう答えた。

「遥くんがいれば、それだけで幸せだよ」

 遥くんはぎゅっと私を抱きしめた。

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